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「短い文、長い余韻」 創批がまとめた86編の詩

「短い文、長い余韻」 創批がまとめた86編の詩

Posted August. 13, 2016 07:07,   

Updated August. 13, 2016 07:26

映画「シネマ天国」で映写技師であるアルフレドが残したキスシーンの集めとでもいえるだろうか。

この本は1975年、申庚林(シン・ギョンリム)の「農舞」を1番に始まった「創批(チャンビ=創作と批評)詩選」が400番を迎えてまとめた記念詩選集だ。羅喜德(ナ・ヒドク)、ムン・ドンマン、カン・ソンウン詩人を始め、創批詩選301番から399番までの詩人86人の詩を1編ずつ取り寄せて作った。すべての作品が本の1ページの中に納まるほど短い詩だ。編集者たちは、「これを巡って短詩と呼んでもいい。読者たちができる限り余裕をもって詩と向かい合うことを願った」と語った。

一人の詩人の1冊の詩集を丸ごと読みながら、深い森の中の道をゆっくりと歩いていく感じは得られないが、各詩集から寸鉄のシーンだけを集めてみる味がある。「バイトが終わって明け方に入ってくる子の/寒い足音を聞く父は、寝耳に/耳で泣く」(キム・ジュデの「父女」より)、「あなたと一緒なら私が、しきりに私が好きになった時代があったね」(イ・ヨングァンの「痛い天国」より)

恥ずかしがりやで敏感な人たちが頭をかきながら書いたはずの「詩人の言葉」から抜粋した文を読む楽しみも、詩の本編に引けを取らない。「あまりに細かく読まれず、傍目でざっと流し読みしてほしい」(クォン・ジスク)、「詩を書くことは、かつても今もそのつらい作業に比べ、所得の少ない芸術だということは、皆知っていることだが、私はこれまで文句を言ったことがない」(ミンヨン)

「創批詩選」の本ナンバーが100番台半ばだった20年前は、詩集1冊の価格は5000ウォン前後だった。菓子の値段はその間、10倍近くも値上がりしたが、詩集の価格は2倍になった。猛暑の夏、モルディブには行けなくても、日常で、「ラスティネイル」(錆びた釘、又は荒い足爪)のような感覚を体験する値段としては、あまりにも安いのでは…。



조종엽기자 チョ・ジョンヨプ記者 jjj@donga.com