「(聖書の)出エジプト記と同じです。悲嘆と絶望の時期が過ぎれば、突然変化が訪れます。自分がどこにいるのか知り、感謝することになります…」
歌手アイユーが憧れるという英国のシンガーソングライター、コリーヌ・ベイリー・レイ(Corinne Bailey Rae=37)に最近、ソウル江南区(カンナムク)のあるホテルで会った。6年ぶりの新作「The Heart Speaks in Whispers」についてのレイの話は、まるで自分の数奇な人生を語るようだった。
2006年の1枚目の「Likea Star」「Put Your Records On」が全世界のラジオで流れて絶賛され、レイは華やかにデビューした。2枚目を準備していた2008年、夫が急死した。4年ぶりに出た2枚目「The Sea」(2010年)は、死別の悲しみが刻まれたアルバムとなった。2013年、レイはこのアルバムを共に作ったプロデューサー、スティーブ・ブラウンと再婚した。
「ある日、夢で『空が開かれる/海が分かれる』という声を聞き、曲を書きました。私がギターの部分を、スティーブがピアノの部分を書いて合わせました」。新作にある「The Skies Will Break」(QRコード)は、雷のような運命の力をリズムの躍動で表した。「アルバムのタイトル(「The Heart Speaks in Whispers」)は、エジプト文化からインスピレーションを受けました。記憶、夢、経験、苦痛、喜びを入れる身体器官を現代科学では脳と見ますが、古代エジプトでは心臓と見ました」。レイは英文学を専攻し、ロックバンドでギターを弾き、シンガーソングライターとなった。
「Green Aphrodisiac」は、アルバムの中心となる曲だ。新しい恋愛感情を花が咲き乱れる庭園にたとえた。「喪失と癒し、時間と変化、万物が枯れて冷たく絶望的な時、実は地面の下で育っているもの…」。レイは「(先月29日)夕方、ソウルジャズフェスティバルの舞台に立った時、私の周りのすべてのことがこの歌と合致しました」と夢見るような表情で語った。
新しいアルバムの製作は、英リーズと米ロサンゼルスで分けて行われた。「(故郷の)リーズはロンドンよりも寒くて雨が多いです。一方、ロサンゼルスの暖かい日差しは、官能的なムードを贈ってくれました。フライング・ロータス、サンダーキャット、キング、カマシ・ワシントンのような進取的なミュージシャンから影響を受け、『これがインディーズなら、どんな方法で編曲したのか』といった具合に興味をもちました」。
ピクニックの形で繰り広げられたソウル・ジャズ・フェスティバルは、期間の間、少々騒々しかった。音楽に集中できない状況だった。レイがアンコールで「Like a Star」を歌った時は例外だった。神秘的な星を眺めるかのように1万人の観客が息を殺した。
ロサンゼルスで過ごし、アルバムの最終作業のために英国に戻った時、暗かったリーズにも春が訪れていたという。「庭で靴を脱いで花が咲くのを見ました。人生にも季節があるのかも知れません。種を植えて待てば、夢見てきた完璧な日が来るという約束…」
임희윤기자 イム・ヒユン記者 imi@donga.com






