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[オピニオン]同じ服でいっぱいのザッカーバーグのクローゼット

[オピニオン]同じ服でいっぱいのザッカーバーグのクローゼット

Posted January. 28, 2016 07:19,   

Updated January. 28, 2016 07:35

「何を着ていこうかな?」。フェイスブックの創業者マーク・ザッカーバーグは、育児休職を終えて出勤する日、灰色のTシャツに濃い灰色のフード付きTシャツでいっぱいの自分のクローゼットを、フェイスブックを通じて公開しながらこう尋ねた。ザッカーバーグがTシャツとフード付きTシャツのスタイルを好んでいることはよく知られているが、同じ服が何着もかけられていることには、首をかしげたくなる。彼はフェイスブック・ユーザーとの応答時間に、「この共同体のための仕事のほかは、決定すべき事項の数を減らしたくて」同じ服を着ると語った。

◆2011年、この世を去ったアップル創業者スティーブ・ジョブズは、イッセイ・ミヤケの黒いタートルネックとリーバイスのジーンズ、ニューバランス運動靴がトレードマークだった。ジョブズは、「毎日何を着るか悩む必要がなく、自分ならではのスタイルを作ることができる」とその理由について語った。1980年代初頭、日本ソニー社を訪問したジョブズは、ソニー職員らのユニフォームから感銘を受け、アップルにも制服を導入しようとした。職員らの反発で、「アップル制服」はあきらめたが、その代わりに「ジョブズユニフォーム」を作った。ジョブズは、自分の伝記作家に、「一生着るだけのタートルネックを持っている」と語った。

◆バラク・オバマ大統領も、ザッカーバーグと同様の理由で、青色、または灰色のスーツのみ着ている。氏は2012年、バニティ・フェアとのインタビューで、「決定すべきことを減らそうと努力している。何を食べるか、何を着るかという問題まで決めたくはない。決めるべきことがあまりにも多すぎるから」と話した。最高指導者としてのストレスが感じられるが、働く女性の服を巡るストレスには比べ物にならない。韓国初のファッションデザイナー・ノラ・ノ(88)は、そのためか40代から黒い服のみ着ている。

◆あまりにも多い選択肢を前にして決定を下せない現代人の病理現象を決定障害という。ザッカーバーグの場合は、決定障害というより衣装選択に消耗される時間やエネルギーがもったいないので、最初から選択そのものを排除したような気がする。多忙の暮らしの中で不要な部分を思い切って切り捨てる集中力があったからこそ、成功できたかもしれない。しかし、雰囲気に合わせて服を選ぶ感覚も現代人にとっては大事な資産といえる。

鄭星姬(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com