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実際のヘンゼルとグレテールは殺人犯?

Posted December. 08, 2015 07:18,   

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海外公演物を紹介するテレビチャンネルで、フンパーディンクのオペラ「ヘンゼルとグレーテル」を見ました。ウィーン国立オペラ劇場が今シーズン公演したばかりのホットな映像です。年末に頻繁に公演が行われる家族向けオペラでもあります。今冬にはたくさん放映されるような気がします。

このオペラには、我々にはお馴染のグリム兄弟の「ヘンゼルとグレーテル」物語とはいくつか異なる点があります。まず、帰ってくる道を探すため、パン屑を道端に落とすエピソードがありません。子供たちを捨てる「悪い継母」もありません。自分の足で森に行った子供たちが、夜遅くなって道に迷ったに過ぎません。ロッシーニのオペラ「シンデレラ」(チェネレントラ)に、ガラスの靴も、継母も出ていないのと似ています。出版業が盛んでなく、「標準バージョン」の重要性が強調されなかった18〜19世紀には、有名な童話や小説も多様なバージョンで消化されていました。

ところが、この童話の裏にまつわる衝撃的な主張があります。1674年、ハンス(愛称はヘンデル)とグレーテル・メッツラ—という兄妹が、森に住む女性パン屋のカタリーナを殺害する事件が起きました。ハンスはかつて、おいしいクッキーの製造方法を知るため、カタリーナに結婚を申し込んだことがありましたが、断られるとカタリーナを魔女として告発しました。無罪で釈放されたカタリーナは森に隠れます。彼をメッツラ—兄妹が探して殺害したのです。

20世紀初頭、ドイツの教師だったハンス・トラクスラー(筆名=ゲオルグ・オセック)は、17世紀の文献を詳しく調べて、このような記録を探し出すことができました。この恐ろしい殺人物語が、人々にはただの「ハンスとグレテールが魔女を殺した事件」として知られ、口伝の末、童話に脚色されたと解釈しました。

今月19日から27日にかけて、京畿城(キョンギ)城南(ソンナム)アートセンターのアンサンブルシアターで、フンパーディンクの「ヘンゼルとグレテール」が公演されます。ただの童話を基にした「家族向けオペラ」ではなく、限りなく精密で華やかな管弦楽を備えた名作オペラです。公演をご覧いただく観客の方々には、作品の裏に隠れているかもしれない真実も頭の中に浮かべてみて、トラクスラーの分析にように、哀れにも犠牲になったかもしれない「魔女」のカタリーナにも、一度くらいは同情を送っていただければと思います。



gustav@donga.com