北朝鮮労働党の金正恩（キム・ジョンウン）第１書記は、危険な戦争ごっこだけでなく、エンターテインメント事業にも人一倍の関心や愛情を注いでいるようだ。彼の直接的指示で、牡丹峰（モランボン）楽団の結成から３年後に２番目のガールズグループ「チョンボン楽団」が、今年７月に披露された。最近、チョンボン楽団がロシアで公演する姿が、外部に初めて公開された。洗練されたメイクやヘアスタイルが目立つ美女歌手７人が、胸が深く開いていたり、肩が出ている黒いロングドレス姿で舞台で歌を歌った。
◆彼女たちは、ガールズグループ「少女時代」や「シスター」などの国内アイドルグループより、年齢はやや上に見える。その代り、成熟した女性の魅力をほのめかしている。チョンボン楽団の名は、白頭山（ベクドゥサン）の峰から取ってきた。北朝鮮の体制が、１９３９年、抗日革命闘争に乗り出した金日成（キム・イルソン）パルチザン部隊の野営地だと宣伝するところだ。団員たちは、金正日（キム・ジョンイル）時代に結成された「旺載山（ワンジェサン）芸術団」の演奏者らと「牡丹峰楽団」の重唱組で構成されている。
◆北朝鮮のガールズグループの元祖は、２０代の女性らで構成された牡丹峰楽団だ。彼女たちが公演を行う時は、若い観客らが舞台前まで駆けつけ、踊りながら熱いエールを送る。テレビで公演を中継する日になれば、中年世代の「おじさんファン」たちは、帰宅を急ぐという。一般大衆の「ファン心」を虜にしたのはもとより、最高統治者の後光のおかげで、旗揚げから２年後に、ユ・ジンアやナ・ユミの功勲俳優を２人も輩出した。団員の家族は電気や水道水供給が円滑な平壌（ピョンヤン）の高級芸術家マンションで暮らす特別待遇を受ける。韓国のアイドルグループの大半が宿舎生活をするのと同じく、平壌のガールズグループも集団生活は避けられない。
◆北朝鮮のガールズグループは、体制宣伝のツールであり、思想教養事業のラッパ手の役割を担当しており、存在感が高い。北朝鮮のメディアでは、彼女たちの活動を、「歌の爆弾を乗せて歩き回る」と表現している。スイス留学経験のある金正恩は、大衆文化の力をよく理解しており、十分活用しているような気がする。彼の妻の李雪主（イ・ソルチュ）が、公開席上に初めて登場したのも、２０１２年７月６日、牡丹峰楽団の旗揚げ公演を通じてだった。金正恩が直接手掛けている牡丹峰とチョンボン、今後、二つのガールズグループの間で、どんなライバル構図が形成されるか知りたくなる。
高美錫（コ・ミソク）論説委員 mskoh119@donga.com
About Dong-A Ilbo