崔鍫煥(チェ・ギョンファン)経済副首相は先週、「追加補正予算の効果が最大限出るよう、後続措置を迅速に講じなければならない」と述べた。景気回復の火種を活かすためには、補正予算を早急に執行しなければならないという趣旨だ。だが、政府与党間協議を通じて予算案を確定し、予算案の国会通過を陣頭指揮すべき立場にいる与党セヌリ党の劉承旼(ユ・スンミン)院内代表は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領と親朴系(親朴大統領系)議員らから強く辞任を迫られている。親朴系は今日のセヌリ党最高委員会議で辞任攻勢を全面的に展開する動きを見せている。
セヌリ党の党憲法第8条は、「党は大統領の国政運営を積極的に後押しし、その結果については大統領とともに責任を負う」と定めている。朴大統領が先月25日、国会法改正案に対して拒否権を行使する考えを表明し、野党とともに劉氏に対しても不信感を示したのは、この面で理解できる。劉氏が同26日、「朴大統領の国政運営を十分にサポートできず、申し訳ない」と再三謝罪したのも、この点を意識したからだろう。
にも関わらず、親朴系が分党の可能性まで振りかざしながら「劉院代表が辞任しなければ、どんな政府与党間協議も開かれないだろう」と言ったり、「親朴系の最高委員らが辞任し、党執行部を崩壊させることを辞さない」とまで言い切っているのは理解し難い。来年4月の国会議員総選挙や再来年の大統領選を睨んで、与党内部の権力構造の再編を狙った権力闘争と疑われている仕方ない。
朴大統領は今年2月、セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表、劉院内代表、元裕哲(ウォン・ユチョル)政策委員会議長ら執行部と会談する席で、「与党・内閣・大統領が共同の目標を目指して三位一体となって力を合わせなければならない」と強調した。与党・内閣・大統領府が公務員年金法や国会法改正案などの処理で足並みの乱れを見せたのには劉氏の責任が小さくない。だが与野党とのコミュニケーションのために努力を尽くさなかった大統領府の責任も少なくない。
国会は今、朴大統領の拒否権行使に反発した野党新政治民主連合が、全ての議事日程を拒否し、止まっている状態だ。朴大統領が強調する経済活性化法は、与党内部の混乱が続く場合、処理が遅れるのは必至だ。劉氏に対する朴大統領の批判には、感情が混じっている気がする。仮に劉氏の大きな間違いをしたとしても、今回のような対応は、国と国民にとっては何の為にならない。朴大統領とセヌリ党執行部は、相手のせいにだけしている場合ではない。国民が、今の混乱をどう見ているのか、深く省察してみるべきだ。何よりも、朴大統領には、より柔軟な姿勢でこじれた政局を紐解いていく責任がある。






