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[オピニオン]「光栄な制服賞」を受けた海洋警察官は今

[オピニオン]「光栄な制服賞」を受けた海洋警察官は今

Posted May. 28, 2014 03:41,   

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仁川(インチョン)海洋警察派出所のチョン・スンヨル警衛(43)は昨年1月、東亜(トンア)日報社とチャネルAから第2回「光栄な制服賞」大賞を授与された。海洋特殊機動隊の短艇長として不法操業の中国漁船26隻を取り締まった功績が評価された。中国の船員が凶器を振り回しカセットガスに火をつけて投げるなど、常に激しく抵抗するため、命の脅威にさらされる。

チョン警衛は授賞式の時、「海洋警察官になったことを妻と2人の娘が自慢する」と話した。賞金3000万ウォンは、殉職した仲間の遺族への慰労金や奨学金、貧しい人の支援金にすべて寄付した。

セウォル号事故の責任を問い、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が「熟慮の末、海洋警察を解体するという結論を下した」と明らかにした時、チョン警衛のことを思い出した。海洋警察が国民の公敵のようになってしまった昨今、彼はどう過ごしているのか。

24日、やっと電話で話しができた。チョン警衛は海洋警察が船内の乗客を1人も救助できなかったことで胸を痛めていた。「初期の対応に不十分な点があったと思います。海洋警察の家族も『初期の対処ができていなかった』と言います。しかし、誰が行っても難しかったと思います」。

チョン警衛は意気消沈していた。「今日、巡察に行く時、通り過ぎる車が窓を開けて『おーい、海警!』と言って、指を差されました。通報を受けて出動すれば、『解体される海警が何しに来たんだ』と抗議を受けたりします。職員としてのプライドも地に落ちました。家族は『夫が海警』と人に言えなくなりました」。

そして、行方不明者の捜索に投入された仲間の話を慎重に始めた。「仲間は本当に命をかけて海に入ります。最後まで最善を尽くすでしょう。先日、仲間と電話で話をしましたが、言葉では表現できず、ただ泣いていました」。海洋警察の解体に対する虚脱感もうかがえた。「海洋警察を天職と思っていましたが…海洋警察がなくなれば…仕事は続けますが制服を着るプライドは感じられなくなるでしょう」。

304人の死者・行方不明者を救えず、最も罪悪感に苛まれているのは、世論の非難を受ける海洋警察だろう。組織まで解体される状況で、自らを恥じていることだろう。自分は罪がないかのように海洋警察にだけ石を投げることはできない。韓国社会の積弊がもたらした惨事ではないだろうか。大統領府や政府、国会、メディアなど大韓民国を動かすその誰も免罪符を受けることはできない。罪のない死に懺悔、贖罪しなければならない主体が、「自分のせいだ」とは言わず、海洋警察を生け贄にして責任を回避してはいけない。

海洋警察の無能さと過ちを厳しく問いつつ、国家が海の安全にしっかりと責任を負わなければならない。海洋警察をなくして、救助・救難と警備の分野は新設の国家安全処に、捜査情報の機能は警察庁が担うという朴大統領の構想が果たして最上の解決策なのか、国会で真剣に議論する必要がある。公論化を経ずに大統領が下した決定であるため、与野党が膝を突き合わせて専門家の意見も聞き、国民が納得する対策づくりが必要だ。

この3年間、「光栄な制服賞」の審査委員として参加し、軍、警察、消防署員など制服を着た公務員(MIU)は誰でもできることではないということを知った。人を救うために自分の命をかけることは、国家と国民のために献身するという誇りと使命感がなければ決してできることではない。

この賞の歴代受賞者の中に海洋警察官がもう2人いる。1回目に優秀賞を受けたパク・ソンヨン警衛(西海地方庁)は、短艇に乗って取締りを行い、椎間板ヘルニアで最近手術を受けた。3回目に優秀賞を受賞した木浦(モクポ)海洋警察のチェ・ユラン警査は、セウォル号の事故で忙しくなった。彼らも賞金2000万ウォンを全額寄付した。このような海洋警察官がいることも記憶しなければならない。