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[オピニオン]懸賞金のかかった写真作家

[オピニオン]懸賞金のかかった写真作家

Posted May. 26, 2014 09:20,   

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童話の中から脱出でもしたのだろうか。大人を優に上回る身長の水玉柄のかぼちゃが、おおらかに座っている。あちらこちらに散らばっている水玉模様の赤い風船は、底に落ち込んでいる気持ちも、ふわっと浮き立たせる。今、ソウルの芸術の殿堂で開かれている草間弥生展に出てきた作品を見る瞬間、目と心を虜にする。小さい時から精神疾患を患った作家は、苦痛や絶望を自己治癒の芸術へと昇華させた。「私は、自分を芸術家とは思っていない。私は幼年時代に始まった障害を克服するため、芸術を追い求めているだけだ」

◆苦難と逆境は偉大な芸術家を育てる滋養分だ。オランダで生まれた画家・ビンセント・バン・ゴッホも同じだった。激しい窮乏や精神疾患に苦しんだ彼は、とりわけ自画像を多く描いた。モデルを買うだけの金がなかった。生前に売られた作品は、わずか一点。新しいキャンバスを買う金がなく、絵の上にまた絵を描かなければならなかった。「失敗を繰り返しても、退歩したような気がするときがあっても、物事が当初狙っていたことと違っても、再び元気を出し、勇気を出さなければならない」。このような決起で、不滅の神話を残したゴッホは語った。「真なる画家は、良心の導きを受けるべきだ」

◆20世紀のポップアートの巨匠、アンディ・ウォーホルは、新しい芸術観を示した。あの高いところにあった芸術を、大衆に楽しませる架け橋の役割をはたした彼は、金や名誉を追及することは恥とは思わなかった。「金を稼ぐことこそ芸術だ。働くことも芸術だ。しかし、ビジネスがうまいのは最高の芸術だ」。芸術家と事業家を兼ねた20世紀の新概念の職業類型を創出したウォーホルが残した言葉だ。

◆旅客船セウォル号沈没惨事をきっかけに、外国機関に膨大な寄付金を出し、展示会を開いた「顔無き写真作家・アヘ」の存在が、いよいよ明るみに出た。彼は富を利用し、自らに芸術家という月桂冠を被せた。ウォーホルとは違って、事業家、または写真作家として自分のアイデンティティを隠そうとしてきた彼に、5000万ウォンの懸賞金がかかっている。今、ウォーホルが生きているなら、「懸賞金のかかった写真作家」に向かって、なんと話しかけたのか知りたくなる。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com