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北朝鮮抑留の「南朝鮮スパイ」は宣教師のキム・ジョンウク氏

北朝鮮抑留の「南朝鮮スパイ」は宣教師のキム・ジョンウク氏

Posted November. 20, 2013 03:27,   

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北朝鮮が「南朝鮮情報院スパイ」と主張して抑留している韓国人は、北朝鮮住民に食糧などの救援物資を提供してきた宣教師のキム・ジョンウク氏(50)であることが分かった。北朝鮮が身元を公開せずスパイに追い込んでおり、抑留状態の長期化が憂慮されている。

19日、キム氏の家族や中国の北朝鮮事情に詳しい消息筋によると、中国の遼寧省丹東で北朝鮮住民への支援と布教活動をしてきたキム氏は、先月7日に鴨緑江(アプロクカン)を通じて北朝鮮に入り、平壌(ピョンヤン)で国家安全保衛部(韓国の国家情報院)に逮捕された。バプテスト教会に所属するキム氏は、丹東で面倒をみてきた北朝鮮住民たちが中国公安に摘発されて送還されたため、彼らの生死を確認して救援物資を支援できるかどうか調べるために北朝鮮に行ったという。

一部では、北朝鮮内の連絡担当が平壌に行けば送還された住民に会えるとキム氏を誘って北朝鮮入りしたところを逮捕されたという「誘引説」も提起されている。北朝鮮支援活動をしてきた社団法人「青い韓国」のチュ・ドンシク理事は、「別のルートでキム氏が北朝鮮に抑留されたことは確認したが、逮捕の経緯はまだ正確に分かっていない」と話した。丹東のある消息筋は、「キム氏が捕まった後、鴨緑江周辺の北朝鮮警戒所の警備兵3人も、彼の入国を助けたことが発覚して逮捕された」と話した。

キム氏は2007年から、中朝国境地域のある地下教会で、北朝鮮を脱出したり知人訪問の名目で中国に来た仕事のない北朝鮮住民に宿を提供してきた。彼らが北朝鮮に戻って生活できるよう旅費や生活必需品も援助した。今年初めには、北朝鮮に安定的に食糧を供給するために丹東近隣に自費や支援金で小規模なうどん工場まで建てた。

キム氏は以前建設業に従事し、40才を過ぎてキリスト教に帰依して神学大学を卒業した。卒業後すぐに丹東に渡り、北朝鮮住民の支援活動を展開した。キム氏は7月と9月に韓国に帰国して募金活動を行ない、「北朝鮮の貧しい人々にまず『パン』を与えなければならない」と呼びかけるなど、人道的立場で北朝鮮住民を支援してきた。ある消息筋は、「国家情報院のスパイという北朝鮮側の主張はとんでもない」と話した。丹東にいたキム氏の家族は身の安全のために最近韓国に帰国した。

北朝鮮の朝鮮中央通信は7日、「我が共和国内に侵入した南朝鮮情報院スパイが逮捕された」とし、「このスパイが6年間に渡って、北朝鮮と隣接した第3国で、宗教の仮面をかぶって反共和国偵察謀略策動を行なった」と報じた。

韓国政府は、北朝鮮がキム氏の身元を確認していないため、政府としての公式対応に慎重を期している。統一部当局者は、「北朝鮮の措置をしばらく待ち、何の対応もなければ対策を考える」と述べた。その期間については言及しなかった。

北朝鮮が、キム氏の釈放問題を現在抑留中の韓国系米国人ケネス・ペ氏とともに対外交渉カードとして使用しようとしているという見方も出ている。融和的なジェスチャーを示す必要があると判断される時に、米国政府に対してはペ氏、韓国政府に対してはキム氏の釈放をちらつかせて取り引きする可能性が高いということだ。