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不動産政策、全く新しい枠組みが必要だ

Posted November. 02, 2013 03:33,   

住宅市場に巨大な変化が起きている。「住宅売買価格と家賃は一緒に動く」という常識が崩れ、住宅価格は下がり、家賃は値上がりする脱同調化が、09年以降続いている。賃貸市場では、住宅保証金を払おうとするテナントの需要は増えている一方、家主らは、保証金を家賃へと変えようとしている。そのため、契約の期限が切れた保証金のテナントらは、保証金の高騰と家賃の負担との間で二重苦を強いられている。住宅補給率が100%を超え、かつてから繰り返されている住宅不足問題が解消され、「住宅を購入すれば金になる」という社会的認識も変わっている。

しかし、住宅関連制度は旧態依然としている。1世帯1住宅の政策目標の下、個人や地域居住者中心の申し込み制度を保っている。民間住宅についても、分譲価格の上限制など、価格規制が厳しい。多住宅者に対しては、譲渡税など、さまざまな税金を重課税している。小型住宅比率の義務付け、賃貸住宅の割合やその大きさなどへの規制も変わっていない。一様に、物量不足時期に作られ、時代とはかけ離れた政策だ。

不動産市場の地形は変わっているなら、それにあわせて別途の長期的政策構想が必要だ。さしあたっては、不動産市場の活性化に向け4.1対策、保証金上昇を巡る8.28対策の実施に向けた立法が必要だ。26の不動産関連団体が国会に、「どうか不動産法案でも処理してほしい」という声明を出した。それに背を向けるなら、民生国会などとはいえない。

今はその意味のなくなった小型住宅比率の義務付け、賃貸住宅比率や規模規制の廃止について検討しなければならない。分譲価格の上限制は撤廃し、分譲価格の内訳公示も、契約時に情報提供をする方向に、その性格を変えるのが望ましい。不動産税制は、景気調整の手段や投機抑制の手段ではなく、租税原理に合致するよう、見直すべきだ。

保証金の家賃への転換は、避けがたい傾向となっている。政府が保証金制度をなくそうと急ぐことなどないが、衝撃のない軟着陸への誘導は必要だ。家賃のテナントの負担を減らすため、家賃支出の所得控除を拡大しなければならない。全体的住宅在庫のうち、公共賃貸住宅の割合が4.6%であり、10〜20%の先進国に比べ、過度に低い。画期的に増やすべきだ。民間の賃貸住宅の供給活性化に向け、賃貸事業者には負担ではなくインセンティブを提供すべきだ。多住宅者への税金重課の廃止が急務だ。一昨日行われた「2013、東亜(トンア)不動産フォーラム」でも指摘されたが、法人の住宅申し込み許容も必要だ。賃貸住宅を活性化する主張しながら、住宅賃貸専門法人が一つも無いのは、話にならない。