全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の長男、宰国(ジェグク)氏が昨日、ソウル中央地検の玄関前で記者会見を行った。検察の厳しい取調べを受ける被疑者が、検察庁前で公に記者会見をするのは初めてのことだ。検察が、全氏一家と会見内容について協議をして受け入れたことを意味する形式なのだろう。検察としても、国会が作った法律に基づいて使命を尽くしたことを、宰国氏の会見を通じて知らせたかったのかもしれない。滞納追徴金1672億ウォンの時効が迫り、国民世論が沸騰すると、国会はいわゆる「全斗煥法」を成立させた。同法に基づいて始まった検察の捜査が16年間、わが社会が抱えていた宿題を一挙に解決した格好だ。
宰国氏は、報道陣のカメラフラッシュ洗礼を浴びながら二度頭を下げた。宰国氏は、「父親は、当局に最大限協力するようにと話したし、私たちも、その旨に従おうとしたが、解決が遅れたことについては申し訳ないと考えている」と話した。宰国氏自身を含めて全氏一家が納付する財産のリストを発表した。追徴金確定から16年間、全斗煥氏は追徴金を完納せず、かつての部下たちを従えて豪華ゴルフをしては、「29万しかない」と言って抵抗し、国民の神経を逆なでした。最初から追徴金を完納して贖罪する態度を示したなら、大統領経験者として自宅を捜索され、子女と親戚が次々と検察に呼ばれるような恥をさらす経験はしないで済んだはずだ。
軍事反乱と光州(クァンジュ)の流血鎮圧、そして大統領在任中の莫大な収賄に関連し、全斗煥、盧泰愚(ノ・テウ)両元大統領を法廷に立たせたのは、金泳三(キム・ヨンサム)大統領(当時)の決断がなければ不可能だった。しかし金泳三氏は、任期末に大統領に当選した金大中(キム・デジュン)氏の進言を受け入れる形で、全氏を赦免復権した。そのとき、追徴金を完納する条件で赦免復権を実施していれば、長い歳月にわたって、全氏一家が不正蓄財したカネで子どもたちまでお金持ちにさせる有様を、国民は見なくても済んだだろう。
一部では、「遡及立法」や「連座制」という法律用語を持ち出しているが、全氏の不正蓄財したカネがなかったら、若い子女たちは、それだけの富をどうやって作れただろうか。国会の全斗煥法立法と検察の捜査は、国民の健全な常識に基づいた措置だったと言える。
全氏一家は、国民に対する贖罪の機会を何度も蹴飛ばした。検察が全面捜査を開始すると、仕方なく連れ出される形で、財産を納付すると言って謝罪する姿を見ながら、国民の誰が拍手を送るだろうか。ソウル市延禧洞(ヨンヒドン)の自宅、慶尚南道陜川(キョンサンナムド・ハプチョン)の山林を手放すとは言ったものの、感動する国民は殆どいない。歴史の和解とゆるしは、加害者の真の反省の上で成立する。全氏が政権を握っていた時期に、警察署や区役所をはじめ公共機関には「正義社会の具現」というスローガンが貼り付けられていた。そのときに掲げた社会正義が、今になって、ようやく具現される感じがする。未完の審判が、初めて完結したとも言える。






