「進んで命を捧げて殉教者になり、共同体の名誉を高めたい」
パレスチナ・ガザ地区を支配している武装政派・ハマス傘下の武装組織「エゼディンアルカッサム旅団」隊員らの誓いの言葉だ。
イスラエルとハマスとの武力衝突がなかなか終わらないのは、ハマス内部にこのような重要な武装団体があることも一因となっていると、米紙ニューヨークタイムズが18日付で報じた。
17日、イスラエルの実質的首都であるテルアビブと聖地エルサレムの周辺にまで長距離ロケットを打ち込んだのも、このカッサム旅団だ。イスラエルが今回の空爆の主要ターゲットに据えており、15日の爆撃で死亡したアフマド・アル・ジャバリは、カッサム旅団の司令官だった。
カッサム旅団の組織員は約1万5000人と、ガザ地区・パレスチナ人約170万人の0.9%に過ぎない。しかし、彼らは高度に組織化かつ専門化しており、秘密の宗教集団のように忠誠心が強いという。さらに大半のカッサム旅団組織員たちは、軍隊で兵営生活をするのではなく、普段は警察や大学教授、中央政府書記など、さまざまな職を持っていて、自主的に活動に参加するのが特徴だ。頭に黒い頭巾をかぶっており、身元の把握もなかなか進まない。
隊員たちは、おおむね16、17歳に入り、1年ほど儀式化安保教育、戦闘訓練を受けた後、コーランに向け宣誓し、カッサム旅団に登録する。両親たちは子供がカッサム旅団の隊員になることを誇りに思うという。
カッサム旅団は、武器倉庫を民家に設けているため空爆の目標になっており、民間人の被害が増えていると、イスラエルは主張している。イスラエルが今回、地上軍投入について検討しているのも、有効射程が長く、脅威となっているロケット・ファジュール5が民家に隠されており、これを探し出すためには、地上軍による捜索が欠かせないと判断しているからだと、同紙は伝えた。
カッサム旅団は、パレスチナを支配していた英国に反対する反英国反シオン主義組織を立ち上げて活動し、1935年に死亡した英雄、アル・カッサムの名からとって作られた。1984年に結成されたが、武装攻撃に乗り出したのは1992年1月からだという。07年、ハマスがガザ地区を掌握した後、ジャバリの指揮の下、大きく勢力を伸ばしてきた。イランやシリア、スーダンなどから武器や財政的支援を受けてきた。
カッサム旅団は、ハマスの傘下組織だが、時には独立的に、時にはハマスと相反する活動を展開するなどしている。
自主的に参加する人たちによって隊員が補われ、個人自動小銃や手投げ弾、「カッサムロケット」などで武装している。今回、エルサレム周辺に打ち込まれたロケットも「カッサムM76」だった。
米国や欧州連合(EU)オーストラリアなどでは、カッサム旅団をテロ団体として登録している。
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