策士は昔から自分を使ってくれる人を探し歩く。孟子は鄒の人だが、魏で恵王のメンター役となり、その息子の襄王がまったく王らしくないと、斉に行ってそこで宣王のメンターとなった。孔子も同じだった。孔子は魯の人だが、斉に行って仕事を探した。しかし、志を果たせず戻り、弟子を育てることに余生を捧げた。老子の目には、このような孔孟の振る舞いが地位にこだわるひまわり知識人として映った。
◆ハンナラ党の李会昌(イ・フェチャン)元議員の策士だった尹汝寯(ユン・ヨジュン)氏が盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領のアバターである民主統合党(民主党)の文在寅(ムン・ジェイン)候補の陣営に入った。セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補陣営の金鍾仁(キム・ジョンイン)氏は、現民主党の前々身である新千年民主党で副代表まで務めた。国際通貨基金(IMF)危機後、構造調整を指揮した李憲宰(イ・ホンジェ)氏は、新自由主義に批判的な無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補の陣営に入った。大統領候補が支持有権者の拡張のためなら反対陣営の人物を引っ張ってくることも辞さない。アイデンティティのない「無条件の迎入」で、政党政治を脅かすという批判と共に、異種交配で極端な政治を緩和するという肯定の声も出ている。
◆尹汝寯氏と金鍾仁氏は昨年、安哲秀に政治的助言をして関係がねじれた。尹汝寯氏はあるインタビューで、朴槿恵候補側が自分を訪ねてこないことを残念であると吐露したことがある。尹氏はその後、進歩元老の白楽晴(ペク・ナクチョン)氏の季刊誌「創作と批評」に保守側の人物としては珍しく対談者として登場し、今回、文在寅候補の陣営に入った。金鍾仁氏はあるインタビューで、今回の大統領選挙を「白雪姫と7人の小人」の構図と見ると言っていた。その後、朴槿恵候補陣営に入った。安哲秀候補の新しいメンターの座には李憲宰氏が就いた。
◆今年、尹汝寯氏の年齢は73才、金鍾仁氏は72才、李憲宰氏は68才だ。最近は70才になって老人なので、その基準で見れば、尹汝寯氏と金鍾仁氏は老人であり、李憲宰氏もまもなく老人になる。元記者の尹汝寯氏は、全斗煥(チョン・ドゥファン)政府で大統領府秘書官を務めた。経済学者出身の金鍾仁氏は、全斗煥政府の与党民正党の議員だった。李憲宰氏は、朴正熙(パク・チョンヒ)政権で財務部官僚だった。高い地位を経験した彼らが、何を望んで出てくるのかと冷たい視線を送る向きもあるが、彼らの豊富な経験と知性が候補の安定感を高めている点は否めない。
宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com






