19世紀、自動車が登場すると、英国の馬車製造業者らは、政府に対し、自動車規制を要求した。「道路を台無しにする」、「馬が驚き、馬車の運行に危険だ」という主張が受け入れられ、1865年、赤旗条例(Red Flag Act)が誕生した。赤旗条例とは、赤い旗を手にした人が、少なくとも自動車の55メートル前方で、馬に乗ったり、歩いている通行人に警告しなければならないという法令だ。自動車1台に3人の乗組員を使うこと、馬車より早く走らないよう、最高速度を時速6.4キロに、市街地では3.2キロに定めることなどの規制も付け加えた。この流の対応で、馬車の寿命を少し延ばすことができたが、結局皆潰れてしまった。
◆01年7月、韓国政府は在来市場の再生に向け、大手スーパーなどの送迎バスの運行を禁じた。この措置後も、客らは路線バスで在来市場には足を向けなかった。その代わり、乗用車に乗って大手スーパーに向かった。いまや一度に多くの商品を運ぶことができるようになると、客1人当たりの購入額(客単価)が、23〜29%伸びた。顧客車両も1.8〜2倍へと増え、大手スーパー周辺の交通は大変な混雑振りを見せた。一方、大手スーパー所属の送迎バス運転手3000人余りは、職を失った。
◆知識経済部の外部への委託調査によると、各地方自治体が大手スーパーに対し、月2回の営業中止を強制しているが、休日の市場の売上は、あまり伸びていない。一部の市場は、大手スーパーが営業をしない日は、かえって売り上げが減った。大手スーパーの営業を制限すれば、低迷している在来市場を再生させるのに役立つだろうという予測は、大きく外れている。ACニルソンの今回の調査とは違って、最近のソウル市の調査では大手スーパーへの規制後、在来市場商人の36.5%が、売り上げが伸びたと答えた。外部委託業者たちが、金を支払う機関の狙いにあわせて調査を行ったのではないか、気になる。
◆大手スーパーが、街中市場の商人たちに対し、脅威的な存在となっているのは、消費者に対し安価で質のよい商品を、多様に取り寄せて提供しているからだ。流通革新を食い止めれば、その付けは消費者に回される。大手スーパーへの強制的休みを、月2回から4回へと増やすことを柱とする法改正案が、国会に14件も発議されている。これらの法案が、国会で可決されても、大手スーパーへの規制だけでは、在来市場は再生できない。新しい技術やサービスの参入を遅らせることはできるが、食い止めることはできない。いかなる業種であれ、状況変化に適応して、自己変革を図ってこそ、生き残ることができる。
虚承虎(ホ・スンホ)論説委員 tigera@donga.com






