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[オピニオン]映画「二つの扉」

Posted June. 25, 2012 08:25,   

龍山(ヨンサン)惨事を扱ったドキュメンタリー映画「二つの扉」を、公開日(21日)に鑑賞した。ビル屋上に設置した望楼から火炎瓶を投げつけながら抵抗した立ち退きを強いられている住民と、彼らを逮捕しようとして火の地獄に飛び込んだ警察。映画は、性急に片方の肩を持つことはしていない。デモ隊側の弁護士のインタビューと警察特攻隊員らの法廷での陳述とを交互に出し、抵抗する側と鎮圧しようとする側とが共有した恐怖に焦点を合わせている。「命に危険を覚えたものの、作戦中止を要求する立場ではなかった」という隊員の証言は、望楼の中に閉じ込められていた複数の命を振り返らせた。客席はしばらくの間、静まり返っていた。隣の観客のコーヒーカップは、涙に濡れたティッシュペーパーで一杯だった。

◆2年前に確定判決が出た龍山事件の判決文では、火炎瓶が主人公だった。立ち退き住民5人と警察官1人の命を奪った火災の責任がどこにあるかが、最大の焦点だった。裁判部は、172ページに上る1審と2審の判決文の半分を引用して、デモ隊が警察に向けて投げつけた火炎瓶が惨事を招いたと論証した。警察による鎮圧も正常な公務執行と認められた。デモの主導者に懲役4、5年の実刑が言い渡された理由でもある。映画は、是非を問うことに汲々としていた判決文の物足りなさに食い込んでいる。映画は連日満員の盛況を博しており、「トガニ」や「折れた矢」に匹敵する波及力があるだろうという見方が出ている。

◆この映画が、「龍山立ち退き住民の闘争は正当だったのか」という問いを避けて通ったのは、残念なことだ。彼らは火炎瓶400本、塩酸入り瓶40本を手にして望楼に登った。ぱちんこ20個で打つゴルフボール1万個、ガラス玉3000個も用意した。防衛態勢を整えている警察に向けて打ち放たれた「球」は、8車線の車道や歩道に落ちた。ゴルフボールは、走行中のワゴンや一般住宅の窓を破った。火炎瓶は爆発し、焼肉店や薬局に火が燃え広がった。

◆デモ隊は、補償金だけでは満足できず、他の場所で同じ規模の商売ができるようにしくれと要求した。開発計画は8年前に示されており、同じ立場にある商店ビルにテナント入りしていた439世帯のうち80%はすでに引っ越していた。決死抗戦のため望楼に登ったのは26世帯(6%)だった。彼らの要求が受け入れられたなら、94%の店主らは愚かな妥協をしたことになる。立ち退き住民が望楼に追い詰められたのか、望楼を選んだのかは、映画では突き詰めていない。龍山惨事は生存権を掲げた極限状態での闘争と、これを阻止しようとした公権力との衝突が招いた悲劇だった。

シン・グァンヨン社会部記者 neo@donga.com