農夫の田起しは1年の農作業を左右する。国会議員を選ぶ総選挙での有権者の選択は4年間の国政を決める。投票は、主権者の国民の権利であり義務だ。金能煥(キム・ヌンファン)中央選管委院長は10日、談話を通じて、「国の主人である国民が自分に代わって国会で働く人を選ぶのに後ろ手を組んで傍観するのは、主人であることを放棄することだ」と強調した。第19代総選挙の激しい選挙運動が終わり、国民の選択だけが残された。4000万の有権者は、どのような大韓民国を作るのかを念頭に置いて、投票所に向かわなければならない。
4年前の第18代総選挙の時は、与野党間で政策や理念の違いは今よりも大きくなかった。世界的な経済危機もなく、敏感な国家的問題も多くなかった。社会的な対立もそれほど激しくなかった。しかし今は、与野党間に政策的・理念的違いが克明に現われている。代表的なのが韓米自由貿易協定(FTA)と済州(チェジュ)海軍基地建設、対北朝鮮政策だ。2度の世界的な経済危機の余波がまだ韓国経済と国民生活を押さえつけている。与野党が票を意識し、先を争ってばらまき福祉公約を乱発しているのも、4年前とは異なる特徴だ。相対的に地域対立は多少減っているようだ。
選挙運動の過程で、各党の候補公認をめぐる雑音、選挙戦世論調査の捏造、民間人不法査察、金容敏(キム・ヨンミン)民主統合党候補の低俗発言、統合進歩党の従北主義をめぐって論議を呼んだ。このような争点に各政党がどのような態度を取ったのかも有権者の判断に影響を及ぼすだろう。しかし、選挙直前の争点に過度に執着することは、ややもすると森は見ずに木だけを見る誤りを犯す恐れがある。
有権者が、誠実さと道徳性、能力といった候補の資質を見て投票することは基本だ。しかし、それよりも重要なことは、各政党が志向する理念と政策だ。どの政党を選択するかによって、自分と自分の子が生きていく大韓民国の進路が変わる可能性があるためだ。多少面倒で大変でも、投票所に行く前に、各政党の公約と国家的問題に対する意見を調べ、考えを整理する必要がある。
今回の総選挙の結果は、民心の行方を示すという点で、8ヵ月後の大統領選挙のバロメーターになり得る。総選挙の結果によって、政局の風向きが大きく変わるだろう。民主—統合進歩連帯が院内の過半数になれば、現政権に対して国会聴聞会など波状攻勢に出ることは必至だ。李明博(イ・ミョンバク)大統領のレイムダックは加速するほかない。一方、統合進歩党が主導する野党連帯が過度な理念を表わすなら、多数の横暴という逆風を受け得る。大統領選挙で選ばれる第18代大統領と第19代国会は、任期の半分以上を共にしなければならない。その点でも、今回の総選挙が持つ意味は特に重要だ。






