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寂しさ癒すカウンセリングで自殺者激減、注目集める蘆原区の高齢者対策

寂しさ癒すカウンセリングで自殺者激減、注目集める蘆原区の高齢者対策

Posted February. 04, 2012 08:30,   

「最近、まったく外出してないようですが、意欲もなく、食欲もないからですか」

「スーパーの主人に死にたいと言ったそうですが、おばあさんが亡くなられたからですか」

ソウル蘆原区上渓(ノウォンク・サンゲ)2洞11の統長、ペク・ドンジン氏(43)は、昨年3、4月、町内に住む一人暮らしの高齢者44人を一人ひとり訪ねた。うつ病や自殺の傾向を調査する「心の健康評価」の質問用紙を手に握っていた。質問用紙には、家族や生活水準、学歴から、現在の生活に満足しているか、死にたいと思うことがあるか、自殺を図ったことがあるかなど、プライベートな質問が含まれていた。見知らぬ人が突然家を訪ねて聞き出すことは難しいが、町内の事情をよく知るペク氏は遠回しに聞きながら、状況を把握することができた。

「分かる答えは代わりに書きました。『年を取れば早く死んだ方がいい』と言う時、『どうして』と聞けば、『子どもが死んで、友達も死んだ、私も逝った方がいい』という返事が返ってきます」

一人暮らしの高齢者は、誰かが訪ねてくるだけで喜ぶ。30分もあればすべて聞けると思ったが、1時間以上かかることが常だった。ペク氏は、「誰でも生活が苦しくなることも、家族と別れることもあり得る。しかし、周囲に誰もいない高齢者は、耐え切れずに極端な方法を選択をするケースがある」と嘆いた。

●統長677人が福祉員

ペク氏は、蘆原区が指定した保健福祉員だ。蘆原区にはペク氏のような統長が677人いる。蘆原区は、福祉員を通じて、2010年に満65歳以上の一人暮らしの高齢者1万1474人を対象に、生活実態調査だけでなくカウンセリングや健康調査も行った。

蘆原区が大々的にうつ病検査をしたのは、切迫した理由がある。09年、全国228の市郡区のうち、蘆原区は自殺者が180人で1位となった。人口10万人当たりの自殺者数は29.3人で、自殺率が最も低い瑞草区(ソチョク、15.4人)の2倍に迫る。

金星煥(キム・ソンファン)蘆原区長は、「自殺統計を分析すると、貧困と孤独が原因だった。個人ではなく社会の問題と考えた」と述べ、「脆弱階層のための福祉政策が施行されても、周囲の関心と配慮がなければ効果がない」と指摘した。自殺者のうち74.2%は無職や日雇い労働者だ。生計が苦しくて自殺するケースも12.6%にのぼった。高齢者の自殺は全体の自殺者数の28%を占めた。

●人口10万人当たりの自殺者数が減少

10年に蘆原区は全国で初めて、生命尊重文化づくり・自殺予防に関する条例を制定した。昨年、同条例によって「心の健康影響評価」を受けた人は、一人暮らしの高齢者のほかに、基礎生活受給者、失業者、青少年それぞれ約1万人、計4万人にのぼる。

うつ病の危険がある一人暮らしの高齢者1324人は、カンセリングサービスを受けた。これにより、蘆原精神保健センターのカウンセリング件数が58件(10年)から昨年には2287件に急増した。自殺未遂者と自殺遺族などの高危険群は、仏教、天主教、キリスト教から推薦された「生命サポーター」400人が特別管理した。

3度も睡眠剤を飲んで自殺を図ったチョン氏(74)。昨年4月、再び自殺したいという思いが頭から離れず、カウンセリングに電話をかけた。彼の第一声は、「練炭ガスを吸って死んでしまいたい」だった。チョン氏は5人兄弟の長男で、弟たちを親代わりに育てた。焼き肉屋、刺身料理店が繁盛した時は家庭も築いた。しかし、妻が浮気をして家を出た後、人生が崩壊した。借金をして子どもの学費に充てたが、今は連絡もつかない。裏切られたという思いと悔しさ、そして家族への怒りだけだった。

蘆原精神保健センターは毎週、カウンセリングと検査を行った。近くの福祉館から毎日電話をかけるサービスも提供した。フードマーケットからはおかずを支援した。住民センターは、高齢者の雇用事業を斡旋した。チョン氏は今、「私を助けてくれる人がこんなにも多い。生きなければならない」と言うほど回復した。

成果は数字で確認できる。自殺者が09年の180人から11年には128人に減少した。人口10万人当たりの自殺者数も29.3人から、11年に21.2人となり、27.6%減少した。蘆原区は、自殺予防事業を拡大して、17年までに人口10万人当たりの自殺者数を経済協力開発機構(OECD)平均水準の11.2人まで下げることを目標にしている。



woohaha@donga.com