「機会主義者は取り込み工作の対象ではあっても、リーダーに立てることはしないのが自分の哲学だ」。故盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領は、海洋水産部長官だった00年12月、当時の金重権(キム・ジュングォン)民主党代表に向かって挑発した。金代表は金大中(キム・デジュン)大統領が迎え入れた慶尚道(蔚珍)出身だが、全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)両政権下で抜擢された人物であるだけに、民主党のアイデンティティーに合わないということだった。慶尚道の人物を全面に出した金大中流の東進政策は、全羅道(チョルラド)を地盤に慶尚道の候補もしくは慶尚道勢力を擁立して政権奪還を狙う戦略だった。金重権カードも、その戦略の一つだった。
◆盧武鉉前大統領は、同じ慶尚道出身でも自分こそ民主化勢力の嫡子であって、大統領選の党内候補選びや本番でも競争力で優位に立つと判断した。まずは慶尚道代表の資格を獲得することで党内候補選びで有利な位置に立てると考えた盧前大統領は、政治路線を修正した金重権氏の弱点を真っ向から突いたのだ。盧前大統領が、02年の民主党の大統領選候補選び選挙で勝利したのは、党のアイデンティティーを全面に掲げて金重権氏を無力化させ、党内で慶尚道代表の資格を獲得した戦略が功を奏した。
◆盧前大統領の「左腕」だった安煕正(アン・ヒジョン)忠清南道(チュンチョンナムド)知事が21日、孫鶴圭(ソン・ハッキュ)民主党代表について「歴史の族譜と幹は正統性にある。木の枝が幹の役割をすると、その木は倒れてしまう」と話した。孫代表を名指しこそしなかったが、ハンナラ党出身は民主党では枝に過ぎないという意味なんだろう。孫代表側は「何気なく言ったことじゃないか」としたが、気になる様子だ。安知事が、忠清地域を地盤に民主党候補になりたいという本音を漏らしたものとも読み取れる。
◆盧前大統領の「右腕」だった李光宰(イ・グァンジェ)前江原道(カンウォンド)知事は今年3月、孫代表支持を表明した。親盧(故盧武鉉前大統領系)の386派だが、原則を強調する安知事と政治的に柔軟な李前知事との違いを見せるところだ。盧前大統領の政治的警護室長を名乗る柳時敏(ユ・シミン)国民参加党代表は、民主労働党との野党統合を進めた上で民主党にプレッシャーをかける構想だ。盧前大統領の秘書室長を経験した文在寅(ムン・ジェイン)氏を野党陣営の大統領候補に擁立しようとする動きに対して、柳代表は「人間的には立派な方だが、政治の現実には合わない」と話した。盧前大統領の死去2周忌を迎えた親盧陣営は、それぞれの思惑によって分化の過程が始まっている。
鄭然旭(チョン・ヨンウク)論説委員 jyw11@donga.com






