先日インドネシア特使団が泊まった、ソウル小公洞(ソゴンドン)のロッテホテルの内部に、国家情報院(国情院)の安家(安全家屋=秘密に運営される出先事務所)があるという。それも特使団が泊まった19階のすぐ上の階に。そうだとすると、午前9時27分という早い時間帯に、一般の人が自由に出入りできない特級ホテルのデラックスルームのある階に、スーツ姿の若い国情院要員が簡単に出入りした理由の見当がつく。
◆情報収集は、強靭な体力の工作員が「忍者」のように特定場所に忍び込んで情報を盗み取るやり方でのみ行われるわけではない。むしろ、社交を通じて行われる場合が多い。情報収集の対象になる実力者や外国人は、高級ホテルで顔を合わせるため、全ての国の情報機関は主要ホテルを注視する。そのため、ホテルのルームを借り、事務所の機能を兼ねた安全家屋として活用する。情報機関は機密保持の面から、外部の人を情報機関内に呼び入れることができないため、この安家に呼び、情報を得る場合が多い。
◆安家は必ずしもホテルにのみ設けるわけではない。古い食堂である場合もあるし、料亭や一般家屋である場合もある。1998年、国情院のある工作チームが中国瀋陽で、北朝鮮人のチェ某さんを連れてきて、一般家屋型の安家で特殊情報を得るための取調べを行った。ところが、彼は国情院が望んでいた情報を持っていなかった。間違えて連れてきたという判断が出され、監視を疎かにしたら、チェさんは安家を脱出し、某新聞社を訪れた。チェさんが消えたことを知って困惑した国情院は、この新聞社から連絡が来てからやっと、胸をなで下ろすことができた。この事件は、今回のロッテホテル発覚事件が発生する前まで、最も間抜けな工作事件と挙げられる。
◆安家は思ったより管理がずさんだ。それもそのはずなのが、ものすごいセキュリティ施設を施せば、すぐ人の目につくからだ。周辺の様子に合うところを安家にしているため、セキュリティ意識が薄くなりかねない。今回の事件が国情院要員によって起こされたとすれば、彼らもまた楽な生活に慣れ、行動に注意を払わなかったのかも知れない。ホテル側は、彼らの言うことを何でも聞くはずだから、緊張感なしに行動したことが、恥をもたらしたわけだ。安全家屋は人の目に立たないからこそ、セキュリティがきちんと行われるという意味で付けられた名前であり、情報員らに気楽に過ごしてもらうためにつけられた名前ではない。そのような彼らが泊まるところは安家ではなく、国中を騒がす「不安家」だ。
李政勳(イ・ジョンフン)論説委員 hoon@donga.com






