「ネットの悪質な書き込みに悩まされたくなかった」
サッカーのワールドカップ(W杯)アフリカ大会で、史上初の遠征ベスト16入り達成という実績を残した許丁茂(ホ・ジョンム)前代表監督がW杯以降、辞任の意向を示した際、口にした言葉だ。許氏は最近、ある放送で、「00年、代表チームを率いていた当時、父親が亡くなった時、『だから、お前の親父が死んじゃったんだ』という衝撃的な書き込みを目にしてから、これまで書き込みを読まない」と吐露した。
プロ監督時代、「慶南(キョンナム)幼稚園長」という異名でファンに親しまれていた趙広来(チョ・グァンレ)新代表監督も最近、悪質な書き込みから自由でいられない。趙監督は、「代表監督になって以来、訳の分からない悪質な書き込みが増えた。注目されるほど悪質な書き込みも増えるようだ」と言って苦笑した。
●スポーツスターを狙う「進化する悪質書き込み」
大衆人気で生きていく芸能人に集中する悪質な書き込みは、昨日に始まったことではない。世間を騒がせた芸能人の自殺の背景には、悪質な書き込みによるものもあった。しかし、芸能人に劣らず、悪質な書き込みの恐怖に震える人々がいる。他ならぬスポーツスターだ。
格闘技スターの「ゴリアテ」崔洪万(チェ・ホンマン)は08年、自身のミニホームページに「誰に私の気持ちが分かるだろう。死にたい」と書いた。当時、負傷の後遺症などで振るわず、多くの悪質な書き込みに悩まされていた。
バスケットボール選手のソ・ジャンフン(電子ランド)も最近、あるインタビューで、「もう好意的な記事も嬉しくない。記事の内容と関係なく、悪質なレスが殺到するため」と話した。サッカースターの奇誠庸(キ・ソンヨン=セルティック)は五輪代表だった07年、代表メンバーらに対する悪質な書き込みが絶えないと、ミニホームページに「何だったら、お前らがプレーすればいいじゃん」と書き、ひどい目に遭った。
かつては、一部「問題あり」のスポーツスターに悪質な書き込みが集中したが、今はその対象と時期を選ばない。延世(ヨンセ)大学心理学科のファン・サンミン教授は、「ここへ来て、スポーツスターがマスコミに露出すると、最初は好意的なレスが付くが、いつの間にか悪質なレスに変わっている。「国民の妹・弟」と呼ばれていた金妍児(キム・ヨナ、フィギュアスケート)、朴泰桓(パク・テファン、水泳)も悪質なレスから自由でない理由だ」と説明した。
●不眠症、対人恐怖症、運動への後悔まで…
スポーツスターらは、悪質な書き込みをどう受け止めているだろうか。文化評論家のイ・ムンウォンさんは、「スポーツ選手も、一般人とあまり変わらない。『悪質書き込みも関心の対象』とし、イメージ作りをする芸能人より気が弱く、もっと敏感に反応するしかない」と強調した。
実際、悪質な書き込みで悩まされた経験のあるスポーツスター20人を対象に行った本紙のアンケート調査でも、「悪質な書き込みを意識する」が10人、「非常に意識する」が4人もいた。「悪質な書き込みによって、不眠症に悩まされたことがある」は6人、「悪質な書き込みのため、人と会うことが嫌になったことがある」は8人、3人は「悪質な書き込みで、運動したことを後悔したことがある」と答え、衝撃を与えた。
スポーツスターらに特に悪質な書き込みが集中する理由は、大衆がスポーツを純粋なアマチュア領域に認識する傾向が強いからだ。文化評論家のキム・ホンシクさんは、「大衆はスポーツスターに純粋さを望む。そうでない場合、期待不一致効果が働き、悪質な書き込み書き込みつけるのだ」と説明した。
スポーツスターと私を同質化する傾向も理由。単に運動選手ではなく、私が属している集団の代表と認識しているため、期待水準が高くなり、その期待に反する場合、悪質な書き込みを集中させるということだ。
イ・ムンウォンさんは、「特に、我が国はかつて厳しかった時代、スポーツが国民の代わりに満足を与える主な媒体に作用した。そのような理由で、スポーツスター烈士奉公の精神を強要し、また彼らに適用する基準も厳格になったもの」と強調した。
インターネットの影響力が増大するにつれ、無限競争の過程で、多様なマスコミがますます刺激的な見出しを掲載し、手抜き記事を載せることも、ネチズンに悪質な書き込み材料を提供する重要な理由として挙げられた。
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