「1番目の候補、李元熙(イ・ウォンヒ)です」。26日午後4時半、ソウル江南区三成洞(カンナムグ・サムソンドン)・現代(ヒョンデ)デパート前で、街頭での選挙運動を開始した李元熙候補は、左の親指を立てたまま、市民らと握手を交わした。その後に続く支持者らと運動員数十人も皆、親指を立て、「李元熙」と叫び続けた。握手を交わした60代の老人が、「何番か?」と尋ねると、李候補は親指を立てて、「1番目です」と答えた。
投票用紙の書き込み順番の抽選で1番を引いた彼は、選挙運動でも「1番目」を強調している。
同日、李候補が自宅を出たのは午前5時。毎朝、生卵にエゴマの油を混ぜて飲む。「一日中、選挙運動を行い、討論会に出席し、インタビューを行うと、喉の痛みが一番辛いですね」と語る彼の声は、半分かすれていた。
午前中、通勤途中の挨拶や市民団体の公式支持宣言式典への出席、インターネット放送主催の討論会への出席などで、江南と江北を行き来した氏は、午後から街頭での選挙運動に乗り出した。同日の街頭選挙日程は、江南区の三成洞や松波区石村洞(ソンパグ・ソクチョンドン)、馬川洞(マチョンドン)へと続いた。
選挙運動の現場には大勢の市民が集まったが、教育監候補を見るためではなかった。李候補の選挙車両からわずか100メートル離れたところにある吳世勳(オ・セウフン)ソウル市長候補など、与党ハンナラ党候補らの選挙運動を見るために集まった人出だった。
彼は、選挙運動への協力を申し出た芸能人の嚴鶯蘭(オム・エンラン)氏と共に、人混みの中に入り込み、「教育監候補です」と、一人一人と握手を交わした。
李候補選挙事務所の関係者は、「特定候補に追随するのではなく、教育監候補の遊説の場には人々が集まらないので、市長候補の遊説の場を利用している」と話した。
李候補は、「ほとんどの市民は、何人かの大物政治家の名前だけ知っていて、教育監候補については全く知りません。ひどい場合は、『教育監は皆、不正を行う者ではないか』と話すこともありますね」と語った。同氏は、「でも、街頭で遊説を行ったため、結構顔が知られています。特に、核心公約である『不適格教員の10%を淘汰する』への保護者らの反応がいいですね」と付け加えた。同氏は、任期中に不正や暴力、無能な教員など、全体の10%の教員を淘汰したり、再教育をさせるという公約を掲げている。
彼の遊説には、「アンダーラインを!」という流行語で知られている「往年のEBSスター講師」、ソ・ハンセムさんが参加している。ソさんは、李候補とは、「EBSスター講師」の先輩と後輩の間柄だ。李候補は、「EBS講師時代、自分の講義を受けた方々が、386世代(60年代生まれで80年代に大学に通った40代)ですからね。386世代には進歩的な性向の方々が大勢いますが、遊説の途中、「あの李元熙先生ですか」と喜ぶ人も多いですね。EBS講義を行ったことが大きく役立っているわけですよ」と話した。
午後6時が過ぎた時刻、石村駅交差点の一角に止まっている選挙カーの上に立った氏は、マイクを手にし、「一番上の席に李元熙がおります。泣いて馬謖(ばしょく)を切る気持ちで、不適格教員の10%を淘汰します」と叫んだ。遊説の音にいら立った車から、クラクションが鳴らされると、彼はかすれた声をさらに高めた。
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