南欧の財政危機や北朝鮮のリスクという2つの悪材料が、相乗効果を起こし、25日、対ドルのウォン相場と株価が同時に暴落し、金融市場は事実上、パニック(心理的恐慌)状態に陥った。政府と韓国銀行は08年10月のグローバル金融危機の時に導入し、今年2月1日付けで終了させた韓米通貨スワップ(ドルとウォンとの交換)を再び推進するなど、外国人資金の急激な離脱を防ぐための対策作りに取り掛かっている。
同日、ソウル外国為替市場での対ドルのウォン相場は前日より35.5ウォン安ドル高の1ドル=1250.0ウォンで取引を終えた。終値基準で1250ウォン台で取引を終えたのは、昨年8月19日(1ドル=1255.80ウォン)以来初めてのことであり、1日の上げ幅も昨年3月30日(43.50ウォン)以降最高値である。対ドルウォン相場は19日以降4取引日間で、1ドル=103.4ウォンもウォン安ドル高が進んだ。
総合株価指数(コスピ)も前日より44.10ポイント(2.75%)急落の1560.83で取引を終え、2月8日(1552.79)以降最安値を記録した。今月に入り、韓国証券市場で5兆9677億ウォンを売りつけた外国人は、同日も5875億ウォンを売り越し、「セルコリア(sell korea)」傾向は続いた。年金・基金をはじめ、機関投資家が外国人らが売り出した物量を買い付けたものの、急落の勢いを止めるには力不足だった。
特に同日午前10時40分ごろ、脱北知識人らの会であるNH知識人連帯が、「北朝鮮軍が戦闘体制に突入した」と主張したというニュースが伝わり、南欧の財政危機や地政学的リスクによって萎縮された投資心理は、さらに冷え込んだ。このニュースが伝わった直後、対ドルウォン相場は7分間でなんと27.90ウォンのウォン安ドル高が進み、1ドル=1270ウォンに迫ったりもした。
専門家らは、「スペイン中央銀行が最大貯蓄銀行であるカハスールの国有化を決め、ギリシャやポルトガルから始まった財政危機は、欧州連合(EU)4位の経済大国であるスペインへと拡大されるだろうという懸念が増大した」とし、「さらに天安(チョナン)艦沈没事件を巡り南北間の緊張が高まったのが、金融市場の混乱へと繋がった」と分析した。
金融市場が乱高下し、安全資産である金価格は高騰した。同日、金価格に連動される上場指数ファンド(ETF)の「ハイシェアゴールド」は、375ウォン(5.32%)上昇した7430ウォンで取引を終えた。
同日、急激なウォン安ドル高を食い止めるために為替市場に対し、大規模な介入に踏み切った政府と韓国銀行は、金融市場の安定に向け、先手の対応策を本格的に検討し始めた。韓国銀行の幹部社員は、「北朝鮮関係のリスクに備えるため、金融危機の時のように、米国と通貨スワップ協定を再び交わす案を真剣に検討している」と明らかにした。
これと共に、短期外債を減らすため、企業や銀行による先物為替の取引を一定水準以下へと制限し、銀行の外貨借入金のような長期や短期負債に対し、銀行税を科す案も推進する方針だ。政府は26日午前7時半、経済金融合同対策チーム会議を緊急招集し、具体的な対策を議論することを決めた。
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