Go to contents

[オピニオン]世界経済の「ニューノーマル」

[オピニオン]世界経済の「ニューノーマル」

Posted September. 15, 2009 07:57,   

한국어

1年前の今日、米投資銀行、リーマン・ブラザーズが破産法の適用を申請した。リーマン事態が引き金となったグローバル金融危機ショックは、米国はもとより、アジアや欧州など世界の至るところを襲った。「100年ぶりの危機」、「大恐慌以来の最大危機」と懸念する声が噴出した。英経済学者、スーザン・ストレンジが「カジノ資本主義」と名付けた投機や貪欲の世界経済の秩序は、「砂上の楼閣」のように崩れてしまった。経済危機は、米国や日本の政権交代にも、大きな影響を及ぼした。

◆依然として、懸念材料は少なくないが、世界経済は証券市場を中心に、予想より早い回復振りをみせている。各国の協力の下、財政から資金を供給し、金利を引き下げた景気刺激策の功を奏したためだ。しかし、01年「同時多発テロ」が国際政治のパラダイムを変えたように、「9.15」と象徴される今回の事態は、経済秩序や見方に大きな変化をもたらすことになるだろう。一部では、世界経済が「ニューノーマル(New Normal=新たな標準)」時代に差し掛かったと分析している。

◆市場万能主義への懐疑が増大し、政府の役割が再び注目を集めている。米国ではウォールストリート・ジャーナルのニューヨークに代わり、ホワイトハウスのあるワシントンが経済分野で、存在感が高まった。過剰消費より貯蓄の美徳を強調し、製造業や内需産業を重視する傾向も目立っている。米国やドルの存在感が低下し、中国やインド、ブラジルなど新興経済大国や人民元、ユーロの影響力が増大した。「高成長—低失業」時代は終わり、「低成長—高失業」は避けられないという言葉も出ている。

◆1980年代以降、うなぎ上りだった新自由主義的思考が力を失い、旬の過ぎたと思われていたケインズ主義が復活したのは、「思想の市場」で永遠な勝者は存在せず、時代の流れに沿って評価は変わりかねないことを物語る。危機の主犯というレッテルを貼られたアメリカン・スタンダードは、先日まではグローバル・スタンダードという名で、大手を振った。今、脚光を浴びる「ニューノーマル」も同様、しばらく生命力を持つものもあるだろうが、「政府の失敗」などの別の副作用を生みかねない。人間のエゴや競争への欲求を経済や社会発展の原動力としながら、過度な貪欲を招きかねない災いを常に警戒する態度のみが、時代の流れとは関係なく通用されうる「標準」という気がする。

権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com