現代峨山(ヒョンデアサン)開城(ケソン)事業所職員のユ・ソンジン氏(44)が、北朝鮮抑留137日目の13日午後、突然解放された。ユ氏は同日、開城工業団地を訪れた現代峨山の趙建植(チョ・ゴンシク)社長とともに、午後7時頃、休戦ラインを越え、京畿道坡州市(キョンギド・パジュシ)の都羅山(トラサン)南北出入事務所(CIQ)に到着した。これに先立ち、北朝鮮側は同日午後5時10分頃、ユ氏を開城工団内の現代峨山側に引き渡した。
ユ氏は3月30日、開城工団現地で、「共和国の政治体制を非難し、女性従業員を誘惑し堕落させ、脱北させようと策動した」という容疑で、北朝鮮に抑留された。北朝鮮は5月1日、中央特区開発指導総局報道官を通じ、「(ユ氏が)我々の尊厳高い体制に対し悪意に満ちた批難で、共和国の自主権を侵害するなど、当法に抵触する行為をした」と主張した。北朝鮮は、ユ氏に対し面会権と弁護人依頼権を認めず、取り調べを行なってきた。
政府と現代グループは、ユ氏の解放のため、2ヵ月間、本格的な水面下交渉を行なってきたという。政府関係者は、「北朝鮮側は、初めの1ヵ月は消極的だったが、最近の1ヵ月で態度が変わり、積極的に対話に出た」と伝えた。別の当局者は、「北朝鮮側は4日、玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)現代グループ会長の訪朝要請を受け入れ、光復節(クァンボクチョル、日本の植民地支配から解放された日)前にユ氏を解放する方向に転じた」と語った。
ユ氏解放交渉のために10日に訪朝した玄会長は、13日に帰国する予定だったが、日程を1日延長し、14日までにした。玄会長は同日午前、現代グループを通じ、「もう1日滞在する」と連絡し、統一部は、玄会長の訪朝延長を承認した。このため、金正日(キム・ジョンイル)総書記が玄会長を通じ、韓国側にどのようなメッセージを送ったのかに関心が集まっている。北朝鮮が、8・15光復節の前に、ユ氏を韓国側に引き渡したことで、今後、南北関係が徐々に改善するという観測も流れている。統一研究院の徐載鎮(ソ・ジェジン)院長は、「政府と現代グループ側が、持続的に解放努力をした上、ビル・クリントン元米大統領が訪朝した際、金総書記にユ氏の解放を促したことも、影響したものとみられる。政府は、米国と歩調を合わせ、南北関係の回復を図るだろう」と見通している。
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