大統領府が、景気てこ入れ策として市場に供給された資金を再び買い戻す「出口戦略(Exit Strategy)」を、少なくとも今年中には実施しない方針を決めたことが分かった。また、法人税や所得税引き下げ計画も、当初の予定通り、来年から実施することを決めた。
大統領府の高官は24日、東亜(トンア)日報との電話インタビューで、「政治圏や学界の一部では、出口戦略を検討すべきだという議論があるものの、まだ時期尚早だ」とし、「企画財政部も同様の見解を持っている」と明らかにした。同氏は、「主要先進諸国も、当面は景気拡大政策が必要であることに共感を示しており、国際通貨基金(IMF)の調査団も韓国に対して、現在の政策基調を維持するよう助言している」と伝えた。
大統領府のこのような決定を受け、出口戦略の導入を巡る政府内外での議論は一段落するものと見られる。また、政府支出の縮小や中央銀行の金利引き上げなどによる市場資金の吸収も、非常に限られた範囲内で行われるものと見られる。
同関係者は、「韓国開発研究院(KDI)も出口戦略の検討を要請した。しかし、研究所レベルではそのような要請はできるものの、実際に政策を決定し、実施するほうから見れば、時宜を得ていないと思う」と語った。
大統領府が出口戦略に否定的な理由としては、景気回復の勢いが依然不安定な上、今年上半期からは民間投資が回復の勢いを牽引する唯一のエンジンとなるだろうと見ているためだ。
これと関連して、姜萬洙(カン・マンス)国家競争力強化委員長は、「上半期までは政府支出やウォン安ドル高の効果によって持ちこたえることができたが、下半期はそれは期待しづらい」とし、「企業投資こそ成長率を引き上げる代案であり、そのため現在の政策基調を維持するのが必要だ」と語った。
大統領府は、財政健全性の確保のため、法人税や所得税の追加引き下げ計画を延期すべきだという主張に対しても、政策の一貫性や投資を促すため、日程どおり推進することに合意した。また、不動産市場の安定のため、総負債返済比率(DTI)規制を強化する案も検討したが、経済全体に否定的な影響を及ぼしかねず、慎重にアプローチすることにした。
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