「金さん、現場に行って見て、どう思ったか?あなたが何をしたのか見えるか?これで満足か?」(金ボスル・プロデューサーからPD手帳の放送作家・金ウンヒ氏に)
「発足100日経った政権の政治生命線を絶ち、不落の東亜(トンア)、朝鮮(チョソン)、中央(チュンアン)の堅固な牙城に亀裂をつくった。過去、どのメディアも、どの社会運動勢力もできなかったことをやり遂げた『大衆の力』が、尽きるようで不安です」(金ウンヒ氏が知人に送った電子メール)
人間狂牛病(BSE=牛海綿状脳症)の危険性を誇張、歪曲し、韓国社会を揺るがした文化放送(MBC)の「PD手帳」の製作に関与したプロデューサーと放送作家が、狂牛病不法暴力デモが盛んだった昨年6月に言った言葉だ。検察が18日、PD手帳の狂牛病捏造事件の捜査結果を発表し、公開した金ウンヒ氏のメールには、「総選挙直後、李明博(イ・ミョンバク)に対する敵が強くなる時なので、オーバーな仕事をした」という内容も入っている。狂牛病番組が、選挙で発足して間もない李明博政権を倒すため、大統領選挙への不服運動の次元で作った露骨な「政治番組」だったことをうかがわせる内容だ。
検察は、狂牛病番組が約30カ所にのぼる歪曲報道をしたと結論づけ、プロデューサー4人、放送作家1人、製作陣5人を在宅起訴した。検察は、彼らに名誉毀損と業務妨害の容疑のみ適用したが、PD手帳の捏造がもたらした国家的・社会的損失は計り知れない。PD手帳の煽動が火をつけた狂牛病デモが、3ヵ月以上にわたり首都ソウルを無法地帯にし、国家イメージを墜落させ、経済にも悪影響を及ぼした。
彼らは、言論弾圧という理由で、検察の法に適った呼び出しにも応じず、家宅捜索令状の執行も妨害した。もはや、真実は司法部の裁判を通して、明らかにするほかない。理念的、政治的目的のために歪曲と誇張を行なったPD手帳の製作陣に対し、厳正な審判が避けられない。
PD手帳の製作陣らは、「政治検察が、民主主義の原則である言論の自由を抑圧した」と主張する。ソウル高等裁判所は、農林水産食品部が出した訂正反論報道請求訴訟で、1審の判決より2件追加し、訂正報道を言い渡した。基本的な取材倫理も守らず、故意に事実を捏造したことが、判決で明らかになった。にもかかわらず、反省どころか未だ言論の自由を云々し、反論している。歪曲放送があってから1年以上、関係者の問責もしないMBC経営陣の責任も軽くない。
MBCは、PD手帳の狂牛病報道のほかにも、金大業(キム・デオプ)詐欺劇、弾劾放送、BBK事件など、敏感な懸案のたびに歪曲・偏向放送で論議に包まれた。左派政権を経て、労組の勢力が会社の主導権を掌握したMBCの構造的な問題点が、このような偏向歪曲報道を煽ったのだ。偏向した理念勢力が放送を握る現実を正すための案について、真摯な論議がなければならない。