オバマ時代の幕開けだ。その時代史的意味は実に大きい。建国232年にして初の黒人大統領であるだけでなく、この若いリーダーが約束した「変革と希望」に世界が渇望しているからだ。オバマ氏は果たして、世界をより平和で豊かに変えることができるのか。
バラク・オバマ第44代米大統領当選者は、自ら国境と人種の壁を越えたグローバルの縮約版だ。ケニア人の父親と米国人で白人の母親の間に生まれ、幼いころに再婚した母親について、インドネシアで暮らした。彼の名前には、今も「フセイン」という姓が入っている。オバマ氏は黒人だが、白人の生活を送った。そんな彼が米国の新しい指導者になったのは、米国内では人種と理念の葛藤を治癒し、国外では、より民主的で多元化した国際社会を創出してほしいという時代的要請の産物と言える。
米国も世界も疲れている。91年ソ連帝国の崩壊とともに、40年間の冷戦体制が自由民主主義の勝利で帰結したが、その後十数年を効果的に管理できなかったことが大きな理由だ。特に、ブッシュ政権8年間の疲労が累積している。9・11テロとこれに対する米国の一国主義的な対応は、その頂点と言える。米国は、国際社会との十分な疎通・共感もなく、アフガン、イラク戦争に飛び込み、その後遺症からまだ抜け出せずにいる。米国発世界金融危機も、放漫な米国式資本主義の不幸な中間決算である。
オバマ氏は、このような負の遺産を清算し、米国を再び立ち上がらせなければならない。世界は、米国の一国主義に嫌気をさしながらも、「弱い米国」がもたらす混乱と非効率を望まない。一部では、米国、中国、欧州連合(EU)、日本などによる多国間体制を代案に取り上げているが、時期尚早である。今のような混沌状況で、そのような多国間体制がまともに作動するかは疑問だ。
米国が新しいリーダーシップを示すことが、現実的な最善の代案である。どのようなリーダーシップが必要か。米国外交協会(CFR)のリチャード・ハース会長が指摘するように、「米国一国の力でできることは、もはやほとんどない」という自覚から出発する謙遜のリーダーシップでなければならない。イランの核問題から国際金融の新たな枠組みづくりに至るまで、国際社会と対話し、協力せよという話だ。それが、グローバル化の副作用を最小限に抑え、米国の価値であり人類普遍の価値である自由と市場と人権を拡散させる最も確かな道である。オバマ氏が参加することはできないが、金融危機を話し合う15日のワシントンG20首脳会談が、その契機になることを願う。
オバマ時代は、韓国にとっても挑戦であり機会である。最大懸案である核問題に対して、オバマ氏は、北朝鮮と直接話し合う意思を明らかにした。その善意にもかかわらず、北朝鮮との条件のない対話が、6者協議のプロセスと衝突する恐れがあることも事実だ。北朝鮮が先に米国側に対話を申し入れる公算も大きい。しかし、米朝間のどのような対話も、核廃棄に必ず役立たなければならないという前提が必要だ。この原則さえ守られるなら、韓国としては米国の対話意志を「にんじん」と見なし、核廃棄と北朝鮮の改革開放を誘導するうえで、有利な局面をつくることができる。
オバマ氏は、韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉を求めると公言してきた。米民主党は、議会を掌握した93年と07年に、北米自由貿易協定(NAFTA)とペルーおよびコロンビアとのFTAを再交渉した前例がある。韓国としては、再交渉を避けなければならない。政府と与党ハンナラ党が最近、「韓国で先に批准しよう」と言ったのもそのためだ。FTAの処理が、韓米関係にどのような形であれ影響を及ぼすことが明らかだとすれば、与野党の超党的な対応が緊急に求められる。米国の民主党政権は、伝統的に「公正貿易」という名の下に、保護貿易の傾向を見せてきたという点も気にかかる。
「オバマの米国」が、大きな流れから孤立主義に進むという予測も注目される。オバマ政権は、イラク戦争から手を引き、医療保険改革や予算赤字の削減など、米国内問題に集中する可能性が高い。この過程で、在韓米軍を含む海外駐留米軍の削減問題が取り上げられる可能性もある。在韓米軍の一部がアフガンに転換配置されるかもしれない。12年の戦時作戦統制権の返還(単独行使)を前にした韓国にとっては、注視して機敏に対応する必要がある。
世界のスーパーパワーであり、韓国の唯一の同盟国で政権が交代したことで、韓国にとっても大小の変化は避けられない。問題は、そのような変化を賢明に乗り切ることができるかどうかだ。米国に民主党政府が発足すると、ワシントンと平壌(ピョンヤン)にすぐにも大使館が建てられるように大騒ぎすることは望ましくない。かといって、相手の変化に柔軟に対応する時期と方法を逃してもいけない。オバマ時代がもたらす米国および世界の変化に冷静に対応し、韓米関係を国益極大化の方向に導かなければならない。






