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[オピニオン]北朝鮮の「一心団結」思想教育

[オピニオン]北朝鮮の「一心団結」思想教育

Posted October. 04, 2008 09:34,   

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北朝鮮社会で、「一心団結」ほど多く使われるスローガンはあまりない。官営メディアは、新年や金日成(キム・イルソン)、金正日(キム・ジョンイル)父子の誕生日、人民軍創建日(9月9日)、労働党創党日(10月10日)などが近づくと、必ず「一心団結」を叫ぶ。平壌(ピョンヤン)通りにも、「決死擁護」、「白頭山(ペクトゥサン)の革命精神」、「先軍政治の偉大な勝利万歳」のほかにも、「一心団結」というスローガンがあふれる。憲法の序文にも、「全社会を一心団結した一つの大家庭として・・・」というフレーズがあるほどだ。全人民が、主体思想で団結しようという意味だ。

◆朝鮮中央放送は、労働党創党63周年を1週間後に控えた3日、「一心団結を強化する思想教育に平壌市と慈江道(チャガンド)、平安南道(ピョンアンナムド)の党組織が先頭に立っている」と報じた。金正日総書記の健康悪化説が流れ、50日間、公開の席上に姿を見せないことと関連して、注目されるニュースに違いない。金総書記の健康および後継体制問題や中断した核交渉などで、北朝鮮に不安要因が増しており、体制崩壊が憂慮されるのではなかろうか。

◆このような思想教育にも限界はある。北朝鮮は、02年の釜山(プサン)アジア大会と03年の大邱(テグ)ユニバーシアード、05年の仁川(インチョン)アジア陸上選手権大会などに送った美女応援団を8月の北京五輪には送らなかった。もはや「美女たちの口」を信じられなくなったためだと分析される。韓国を訪れた応援団は、「南朝鮮で見聞きしたことを口にしない」という誓約書を書いてたが、家族や友人に密かに情報を伝え、これがうわさとなって広まり、北朝鮮指導部が当惑しているという。

◆北朝鮮で最もよく歌われる歌は、「金日成将軍の歌」、「朝鮮の星」、「同志愛の歌」、「一心団結」といった革命歌謡だ。若者たちは、この歌謡に北朝鮮体制を皮肉った歌詞をつけて歌うことが多いという。連行と処罰がつきまとうが、根絶はできないようだ。それで出した歌が、青年の片思いをテーマにした「口ぶえ」で、旋風的な人気を呼んだ。やはり人間の本能と感性は、教育と強制だけで自由にできないということを示している。にもかかわらず、まだ内容のない思想教育にしがみつく北朝鮮が嘆かわしい。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員 sooya@donga.com