五輪という晴れ舞台に初めて立った2人の選手がいた。メダルには届かないどころか、決勝戦に進むこともできなかった。しかし、試合後、多くのことが変わった。
韓国乗馬史上初の自力進出で20年ぶりに五輪に出場した馬場馬術の崔逷尙(チェ・ジュンサン、30、三星電子乗馬団)と16年ぶりに五輪の舞台を踏んだリズム体操の申秀智(シン・スジ、17、世宗高)。
2人は、「もし五輪に出場できず、テレビ中継されなかったら、種目そのものも知らないという人が、ほとんどだっただろう」と話した。メダリストのようにテレビ出演などはなかったが、両種目に向けられた視線は変わった。
●経験が自信に
崔逷尙は五輪の馬場馬術の個人競技で、出場選手47人のうち、途中棄権した選手を除いて46位、事実上最下位だった。今回の五輪を通じ、彼は「自信」という大きな収穫を得た。出場したという経験が、これからどうすれば、もっとうまくできるようになるか、を教えてくれた。
「僕の他にも上手な選手は多いです。彼らと一緒に団体戦にも出場できる可能性が、切り開かれたと思います」
12年のロンドン五輪を目指している彼は、再び出場権を獲得しなければならない。彼は今回の五輪出場権を取るため、11ヵ月間厳しい転地トレーニングに耐えてきた。しかし、彼の声には自信と楽しさがにじんでいた。
1日帰国した彼は、周りが乗馬を見る視線が変わったことを感じた。「必ずしも、僕の影響だとは思っていませんが、この前、乗馬大会を観に行ったんですが、観衆の関心度が高くなったのを実感しました」
●「私で再び希望を抱いたそうです」
申秀智は、北京五輪総合予選で24人のうち12位となり、惜しくも10位まで進める決勝戦に届かなかった。数日前、彼女は刑務所から1通の手紙が届いた。ある20代の収監者が、五輪で申秀智が最善を尽している姿を見て、大学進学の夢を持つようになったという内容だった。
「私の競技を見て、大学に進むという希望を抱く人がいるということが不思議です。このような方がいるからこそ、もっと頑張らなきゃという意欲がわきます。」
彼女はしばらく前、あるスポーツ・マーケティング会社とマネージメント契約を結んだ。3年間、内外の大会出場と海外転地トレーニングを支援してもらえる。彼女はもう親の負担を減らせるようになったと喜んだ。
街を歩いていると、顔を覚えている人もいる。ファンレターも届いている。その分、負担も大きくなった。
「もっと頑張って、次の五輪では、絶対メダルを取りたいです」
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