原油など資源価格の上昇により、世界経済の減速が進む中、地域主義が拡散し、反世界化の動きも強まりの兆しを見せている。経済の大部分を貿易に依存している韓国としては極めて憂慮される状況だ。
原油高が庶民だけを苦しめているのではなく、世界経済の勢力図も塗り替えている。強国が政治的な影響力を動員し、途上国の資源確保に乗り出しているのも、天然資源が乏しい韓国には大きな負担となっている。
●世界化から地域主義へ後退
米時事週刊誌のニューズウィーク最新号は、原油高により貨物運送や保管と関連したコストの負担がかさばり、遠い国との交易の代わり、近い国との取引を好む地域主義の傾向が生じかねないと予想した。石油危機が発生した1973〜1979年にもこうした現象が顕著になり、同期間、米国は地理的に近い南米諸国との交易の比重を従来より6%ぐらい増やした。
こうした動きが再燃すると、韓国のように輸出と輸入で経済を支えてきた国は大きな衝撃に直面する。韓国は、国内総生産(GDP)対比貿易額を示す貿易依存度が、2006年71.54%で、1997年に比べて17%ポイントも拡大した。典型的な開放経済である。
その上、最近米国で台頭している韓米自由貿易協定(FTA)の批准を反対する動きの背景には、排他的な保護主義が自国の利益にプラスになるという判断が働いていると、専門家らは分析している。
先月、韓国の対米輸出規模が昨年5月に比べ、5.4%減少したのは、米国の景気低迷で輸出が減ったため。このような状況で、米国が保護主義的な性向の政策を採択すると、韓国の輸出減少の幅はさらに拡大しかねない。
欧州連合(EU)地域に対する輸出規模は、先月17.6%増加したものの、自動車・半導体・コンピューターなど目玉品目の輸出はかえって減少した。原油高による物流費の負担が影響した側面がある。
企画財政部の関係者も、「今はウォン安のおかげで、輸出が増えているが、原油高が貿易のパラダイムまで変える状況になると、『輸出好況』は期待し難い」と述べた。
●戦場になった資源市場
最近の原油高は、「資源外交」という言葉を「資源戦争」に変えてしまった。強国らが資源の確保に血眼になり、天然資源が豊富な国に政治的な影響力を拡大し、資源を先取りする新植民地主義の傾向が現れている。
最近、韓国の大宇(テウ)インタナショナルが開発したミャンマーガス田で生産された天然ガスが、韓国ではなく中国に供給されるようになったのも、このような資源戦争の結果。韓国政府も天然ガスを国内へ持ってくるために外交的な努力を傾けたものの、ミャンマー港を開発し、ガス輸送管の建立事業を以前から進めてきた中国には太刀打ちできなかった。
亜州(アジュ)大学エネルギーシステム学部のチェ・ギリョン教授は、「韓国の立場では強国だけでなく、資源を持っている途上国とも外交を深める必要がある」と述べた。資源を保有した途上国に船を売り、ドルの代わりに原油をもらうといった同伴の成長戦略を推進しなければならないということだ。
●「多くの国々とFTAを締結すべき」
このような地域主義と資源民族主義に基づいた貿易障壁が本格化すると、企業としては外国へ事業を拡大するのが厳しくなり、成長がおぼつかなくなる。
中国は既に、06年から外国企業に対する税制優遇を縮小したり、鉄鋼や造船など主要産業に対する合併買収を禁じているため、もう韓国企業にとって魅力的な地域ではない。特に、既に投資を行った国が外国企業に排他的な政策を打ち出すと、企業としては予期できなかった損失を抱え込まざるを得ない。
専門家らはこうした問題を乗り切るため、△できるだけ多くの国々とFTAを締結、△独創的なビジネスモデルの構築、△紛争解決の枠組みを予め設けるなどの対策が求められると見ている。
エネルギー経済研究院・戦略開発研究団の李ボクジェ副団長は、「韓国は貿易を抜きにしては存立が厳しい経済構造を持っている」とし、「たくさんの国とFTAを締結し、石油製品を大量輸出すると、原油価格の上昇を相当部分相殺することができる」と述べた。






