「1980年代が質の時代、90年代がリエンジニアリングの時代なら、2000年代は速度の時代になる」。マイクロソフト(MS)のビル・ゲイツ会長は著書『思考スピード』で21世紀の企業の勝敗はスピードが左右すると書いた。「デジタル時代にはビジネスも『思考スピード』で運営されなければならない」というのだ。シスコシステムズのチェンバース会長は、「規模の大きい企業がいつでも小さい企業に勝つということはないが、速い企業はいつも遅い企業に勝つ」と語った。
◆各企業は市場環境が急変する状況で半歩でも遅れれば、生存が期待できない。三星(サムスン)電子が技術力でリードしていた日本のソニー社を追い抜いたのも、スピード競争で勝ったからだ。経営陣の速やかな意思決定が韓国人特有の「速く速く」文化とかみ合い、内部の合意と調整の伝統が強い日本企業を追い抜いたというわけだ。トヨタ自動車が世界自動車業界のトップに上り詰めたのもスピード競争力のお陰だ。新車開発にかける期間が、ゼネラルモーターズ(GM)とフォードは34〜38ヶ月だが、トヨタは平均18ヶ月だ。
◆大統領直属の国家競争力強化委員会が一昨日の会議で、通常2〜4年かかる産業団地の許認可期間を6ヶ月前後に短縮すると発表した。初会議から具体的な目標を示したのは評価すべきだが、企業経営と世界経済変化のスピードを勘案すれば、まだ遅いという印象を否めない。幅広くて強く、そして速度を高めて規制を撤廃しても行き先が遠い韓国経済だ。
◆民間を規制で縛りつけるのに慣れている韓国の官僚組職に、今すぐ民間水準のスピードを要求するのは無理かも知れない。しかし韓国政府がドバイ、シンガポールのような競争国政府とのスピード競争で勝つためには、今のようなスピードでは難しい。新政権の経済立て直しのドライブを主導する国家競争力強化委が最初から手網を引き締め、悪性規制からスピーディーに撤廃していかなければならない。スピード競争力がすなわち国家競争力だ。政権担当者は単に長時間勤務を自慢するのではなく、もっとスピーディに考え、よりスピーディに決断し、政策をさらにスピーディに現場化することに勝負をかけるべきだ。
朴元在(パク・ウォンジェ)論説委員 parkwj@donga.com