19日午後9時ごろ、江原道(カンウォンド)某部隊所属の上等兵が髪を洗っているさいに、蛇口に頭をぶつけ脳溢血の判定を受けた。手術設備のある京畿城南市(キョンギ・ソンナムシ)の国軍首都病院に急いで移送しなければならなかった。出産休暇から部隊に復帰して約3ヵ月の看護将校ソン・ヒョンソン(28)大尉は、「急を要する患者があればいつでも呼んでほしい」と言い残して帰宅していた。午後11時55分、義理の母に挨拶してから床に就こうとしたそのとき、呼び出しの連絡を受けたソン大尉は、スポーツウェア姿で駆けつけ、ヘリに同乗した。
◆ソン大尉は1時間後の20日0時55分、ユン上等兵を無事移送し、部隊に帰るヘリに乗り込んだ。離陸から15分後、龍門山(ヨンムンサン)のふもとに差し掛かったヘリは、いきなり乱高下した。7人の軍人を乗せたヘリは、瞬く間に真っ暗闇の中に墜落した。事故現場にはマジックで書かれた「ソン・ヒョンソン」という文字のはっきり見える軍用カバンや靴だけが散らばっていた。ソン大尉は2人の娘、2歳のウンチェと生後6ヵ月のウンギョルを残してこの世を去った。
◆一人の仲間の命を助けようと、7人が命を落とした今回のヘリ惨事は、アメリカ映画『プライベートライアン』を思わせる。第2次世界大戦当時、敵地で行方不明となったライアン一等兵を助けるため、特攻隊員8人が投入される。隊員たちは、「一人の一等兵が特攻隊員8人の命より重要なのか」と反問したが、死闘を繰り広げているはずのライアンを助けるため、危険な作戦を遂行する。結局、ライアンは助かったものの、3人が命を落とす。敵を殺さなければ自分が殺される戦場で、戦友たちの間で花咲くヒューマニズムが静かな感動を呼んだ。
◆1995年、ボスニア戦争の際、米空軍操縦士のスコット・オグラッディ大尉が、対空砲に撃たれ、敵地に墜落した。10人あまりの海兵特攻隊が敵地に投入され、オグラッディ大尉を救出する。オグラッディ大尉は救出された後、「祖国や同僚が自分を見捨てるとは、ただの一度も考えたことがない」と話した。第2次大戦やボスニア戦争のように、熱い戦場ではなくとも、ソン大尉と同僚たちは、自分を犠牲にして熱い同志愛を見せてくれた。ソン大尉とチョン・ジェフン大尉、シン・ギヨン、ファン・ガプチェ准尉、金ボムジン、チェ・ナッキョン上等兵、李セイン一等兵の冥福を祈る。
許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com






