ニコラ・サルコジ・フランス大統領が「広告のない公営放送を作る」と明らかにした。テレビとラジオのチャンネル1つずつを合わせて公営放送の代表格である英国のBBCに似ている放送を作るというのだ。「フランスモンド(ワールド)」と呼ばれる同放送はフランスのアイデンティティと文化を集中的に紹介する方針だという。財源は民営放送の広告収入に課せられる税金で充てることから、国民の追加負担もない。
◆新しい公営放送の設立計画が、サルコジ大統領が「国民の幸せの質を高める」と宣言した新年の記者会見で発表されたという事実が意味深い。サルコジ大統領は「今のように国内総生産(GDP)を計算する方式では暮らしの質をまともに把握することができないので『幸せ指数』を勘案する方式に変える」との見解を明らかにし、新しい公営放送について言及した。これは国民が最も身近に享受できる放送の質が、すなわち、暮らしの質に影響を与えるという認識を反映したもので、文化大統領としての彼の面貌を見せている。フランス人たちの感じる物足りなさは物質ではなく文化にあるので、放送のグレードアップを通じその欲求を最大限満たすというのだ。
◆資本主義の社会でメディアは広告によって運営されるが、公営放送は例外だ。社会の陰にも視線を与えることで共同体意識を涵養するという「視聴者の福祉」に共感する国民の受信料によって運営される。しかし、韓国の公営放送というKBSは広告比重がほぼ半分(47%)で世界で最も高い。財源のほぼ全部を受信料に依存するBBCやNHKとは違う。看板は「公営」でありながら受信料と広告を同時に受け取るので「商売が身についた」商業的な公営だ。
◆KBSは1981年以来、月2500ウォンの手数料を60%上げてこそ公正さが保障されると言うが話にならない。BBC、NHKの徹底した構造調整を学ぶどころか、放漫経営に加え不公正報道で国民を糊塗しながら受信料の大幅引き上げに中間広告の許容まで求めている。今年は特に予算編成も初めから439億ウォンの赤字予算で組んだ。借金経営をすると宣言したのだ。これが韓国とフランス間の文化水準の差だ。
許文明(ホ・ムンミョン)論説委員 angelhuh@donga.com






