人間の偉大さが発現するには、生まれつきの天賦の才のほうが重要か、後天的な教育のほうが重要かという論争は、答えのない永遠のテーマだ。プロゴルファー、朴セリ(30)は天性と教育が絶妙な調和をなすゴルフの天才だ。娘の才能をいち早く発見した父親の朴ジュンチョルさんが厳しいトレーニングを重ね、偉大なゴルファーに育て上げた。1980年代後半、朴さんがハワイに移住した際、小学生だった娘にゴルフクラブの握り方を教えると、驚くほどいい球を打っていたという。
◆厳しいトレーニングも、朴セリ自身ゴルフが好きだからこそ可能だった。朴セリが中学生だったある冬の日、父は娘をゴルフ練習場に連れて行った後、友人たちと酒を飲んだ。娘のことをすっかり忘れていた朴さんがあわてて練習場に向かったのは翌日の午前4時だったが、朴選手はその時まで練習を続けていた。朴セリは、子供の成功を望む欲ばりな親たちに「何でも、自分が好きなものをさせることが大事だ。強引にやらせても自分が好きじゃないと結局だめになる」と助言する。
◆中学校1年で本格的にゴルフを始め、女子高生として全国大会を席巻、米女子プロゴルフ(LPGA)に進出した朴セリ選手が「世界ゴルフ名誉の殿堂」入りを果たした。現役ゴルファーとしては最年少記録だ。誇らしく思う。筆者は01年、インタビューのため朴選手に会ったさい、父親の朴さんに「セリさんの結婚はいつ頃になると思うか」と聞いた。父は「名誉の殿堂入りを実現するまでは結婚は見送ると親子で約束した」と答えた。
◆ゴルフは心理的安定が欠かせないデリケートなスポーツだ。米プロゴルファーの中には、マインドコントロールの専門家のカウンセリングを受けている選手が多い。心理的に不安定になると、筋肉が硬直し、柔らかく正確なショットが打てない。朴選手が2年あまりの間、カットオフの屈辱を経験し、スランプに陥っていた時、筆者は若く健康な朴選手が心理的安定を取り戻すためには、恋愛か結婚しかないと思ったことがある。名誉の殿堂入りを果たした今、朴選手の最初のコーチであり、「最も尊敬する男性」である父は、約束どおり娘を他の男性にやろうと思っているだろうか。
黄鎬澤(ファン・ホテク)首席論説委員 hthwang@donga.com






