盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、15日、8・15祝辞で南北首脳会談について、「無理に欲張らない。歴史の道理が現実になるよう最善の努力を尽くす」と述べた。正しい考えだ。国家の安保と平和、国民の生命と財産に少しでも悪影響を残す会談になってはならない。
会談では、韓国国民の最大の心配の種である核問題が集中的に議論されねばならない。大統領は、国民の最大関心事を会談の席上で取り上げるべき義務がある。国民は、このために主権を委任したのだ。にもかかわらず、祝辞に表れた盧大統領の会談戦略は、国民の期待に反するものだった。
祝辞の骨子は、「核廃棄は真っ向から取り上げず、南北経済協力に集中する」と読める。さらに大統領は、「あれはだめで、これだけは必ず取りつけなければならないという具合に負担を負わせるより、大きな枠組みで未来のために知恵を集めてほしい」と訴えた。国民の意思を反映してほしいという要求を「負担」に受け取る認識自体に問題がある。
韓国と北朝鮮は半世紀以上、軍事的対峙を続けている世界で唯一の分断国家である。南北間の緊張の頂点に核問題がある。核問題を会談の重要議題にしない平和と安定の議論は、会談の意図を疑わせるだけだ。6者協議が進められているが、核放棄の最終決定権者は金正日(キム・ジョンイル)総書記である。金総書記から核放棄の約束を取りつけることが、最も確かで最も早い解決策となる。核を取り上げない場合、盧大統領は、北朝鮮の核保有を認めるために平壌(ピョンヤン)に行く格好になってしまう。
盧大統領は「北朝鮮核問題が解決の道に入りつつある」と述べたが、実際はそうではない。寧辺(ヨンビョン)核施設の稼動停止・封鎖という極めて初歩的な措置が行われただけで、北朝鮮が保有中の核兵器の撤廃はいつ実現するか予想すらできない状況だ。盧大統領が言及した南北基本合意書、非核化共同宣言など、既存合意の実践も北朝鮮の核放棄が先行されてこそ可能となる。
南北経済協力の必要性を否定することはできない。しかし、現実は簡単ではない。開城(ケソン)工業団地は、試験事業段階を脱していない。進出した韓国企業は頭を抱えている。最近、ヨルリン・ウリ党の主催で開かれた懇談会で、経済関係者たちは、北朝鮮側の劣悪なインフラ、高い工場設立費用、在庫累積などに関する困難を打ち明けた。彼らに「生産的投資協力」や「双方向協力」は、まだ夢のようなことだ。そのため、「一方的支援の論議」が生じるのである。
盧大統領が、核は取り上げずに支援だけをするなら、国民の反感は高まらざるを得ない。ただでさえ、国民は南北経協のために65兆ウォンを調達しようとする政府の計画に疑いの目を向けている。経済協力の論議が必要なら、核はもとより、拉致被害者の送還、離散家族再会の定例化などの懸案と解決策も、ともに話し合わなければならない。






