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[オピニオン]ヒジャブ

Posted August. 15, 2007 07:18,   

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タリバンに拉致され、昨日開放された金ギョンジャ、金ジナ氏は、イスラム女性の伝統衣装、ヒジャブ(hijab)をかぶっていた。二人は韓国側に引き渡される瞬間、安堵の息とともに、これまでの悪夢を振り払うかのように、長時間すすり泣いた。ヒジャブの間からは泣き声がもれた。ヒジャブとは「保護」と「差別」というイスラムの二重的な女性観を象徴する衣装だ。

◆ヒジャブはアラブ語で、「隠蔽」を意味するが、謙遜やプライバシー、道徳性などのようなさまざまな意味をも持つ。元来、コーランに出ているヒジャブは、人のかぶるベールではなく、空間を区切るカーテンだった。男性信者たちはヒジャブの後ろで、マホメットの妻たちと話し合うことができると、コーランでは教えた。このようなヒジャブは、後に女性たちがかぶり始めてから、公共の場での男女を区分するドレスコードとなった。

◆イスラムは女性の相続権をキリスト教社会より先に認めるほど、男女を同等な存在とみなしている。しかし、女性の役割は男性と異なり、女性は保護されるべき存在だとみている。ヒジャブもそのような精神から出発したものだ。しかし、18世紀ごろから、中流階級の男性たちが性を思うままに買えるハーレム居住の女性や女性奴隷と、自由民の女性を区分するため、自由民の女性にヒジャブを強要し始めた。自由民の女性は結婚の対象となる女性を指す。その時からヒジャブは、純潔や家門の栄誉、社会的な地位を表すアイテムに変質した。

◆ヒジャブは今も激しい議論の中心にある。先月、トルコの総選挙では、学校や公共の場でのヒジャブの着用禁止規定を撤廃した政権党の正義開発党(AKP)が勝利した。ヒジャブの着用を支持する人たちは、意外なことに、イスラムのエリート女性たちだ。彼女たちはヒジャブを宗教的な信念や女性のアイデンティティを表すシンボルとみなしている。しかし、イスラムの男性たちは、コーランの教え通りヒジャブをかぶった女性を保護しなければならないという思いが強い。ヒジャブをかぶった韓国人女性の人質14人は、依然としてタリバン集団に監禁されている。タリバンは彼女たちにも、金ギョンジャ、金ジナ氏のように自由を与えるべきだ。5人の男性の人質も安全に返すべきだ。イスラムは何よりも平等な宗教なのであるから。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com