●墜落する韓国の映画産業
映画界では、オリオンが劇場事業から撤退するのは、韓国の映画産業が直面している厳しさが相当なものだということを見せつけるものだという見解が大勢を占めている。
昨年、封切られた韓国映画は計108本。1週間に2本の割合で、劇場公開された。このうち収益率50%以上の「大ヒット」映画は、『王の男』『作業の定石』『マイボス・マイヒーロー』『甘くて殺伐な恋人』『ペテン師』『グエムル』のわずか6本だ。
『家門の復活』や『私たちの幸せな時間』は、収益率が30%水準。『ラジオスター』『淫乱書生』『死に物狂い』『青春漫画』『はだしのキボン』『吸血刑事、ナ・ドヨル』『救世主』などは、損益分岐点をわずか上回った程度。88本(81.5%)が赤字だった。
数本の大ヒット映画やカンヌ映画祭で主演女優賞を受賞した『密陽(ミリャン)』のおかげで、韓国映画はうなぎのぼりのように見えたが、産業レベルでは「見かけ倒し」の状態だった。
専門家たちは墜落の原因として、まず、過当競争をあげる。映画産業が脚光を浴び始めたのをきっかけに、同分野をろくに知らないさまざまな資本が大ヒットを夢見て参入し、これに便乗して各映画会社では完成度の低い作品を作って、観客たちの韓国映画離れをまねいたという。
興行の失敗は投資の誘致に悪影響を及ぼし、投資がままならず制作費を削れば、製品のレベルが落ち、興行がさらに悪くなる悪循環が始まった。
その結果、『シュリ』を演出した姜帝圭(カン・ジェギュ)監督と、『JSA』の製作会社であるミョン・フィルムのシム・ジェミョン代表が作った「MKピクチャーズ」が、江原(カンウォン)放送に売却されるなど、製作会社の事情も悪化し、その影響は映画のメジャーのひとつだったオリオンにも及んだ。
●オリオン、エンターテインメント事業から撤退する可能性も
オリオンのメガボックスの売却は予想できたことだったという分析も多い。映画産業の収益性が落ち、CJやロッテに比べて相対的に資金力の弱いオリオンが決断を下したのだ。
メガボックスは、05年に比べて昨年の実績は相当悪化した。同期間の売上は999億ウォンから1091億ウォンに増えたが、営業利益は141億ウォンから140億ウォンと、純利益は103億ウォンから87億ウォンと、それぞれ減少した。
未来(ミレ)アセット証券のチェ・ヨンソク研究委員は、「CJとロッテに押される状況で、攻撃的な投資ができず、売却したわけだ」としながら、「オリオンは売却代金で、中国や米国映画に投資するなど、ほかの成長エンジンを探すだろう」と分析した。
オリオンがエンターテインメント事業から完全に撤退するだろうという見方もある。製作—配給—劇場をすべて保有している「垂直系列化」を通じて映画市場に参入したオリオンが3大軸のひとつである劇場を手放したのは、エンターテインメント事業に興味のないことを間接的に示すものだと、映画業界では分析している。
●国内映画業界の再編の可能性も
CJ・CGVとロッテシネマなどの競争会社では今回の売却に神経を尖らせている。これまで3つどもえの競争体制を維持してきたメガボックスが、外国系資本に売却されただけに、劇場業界は大きな変化に巻き込まれかねない。
映画業界では結局、米国の映画会社である20世紀フォックス社やSKテレコム、KTのうちの1社がメガボックスを買収するだろうと見込んでいる。
20世紀フォックス社に買収されれば、外国の映画会社がハリウッド映画を上映するスクリーンを安定的に確保できるだけに、韓国の映画界には打撃が予想される。
SKテレコムやKTなどの通信会社に買収されれば、当分大きな影響はない。しかし、これらの通信会社が映画製作やドラマ、ショーなどのコンテンツ事業にまで参入すれば、映画はもとより、エンターテインメント産業に大きな嵐が吹き荒れることになるだろう。
CJエンターテインメントの李サンム広報部長は、「国内の通信会社がメガボックスを買収する場合、エンターテインメント産業と通信産業の融合が起こるシグナルとなるだろう」としながら、「従来にはない新しい産業が生まれるだろう」と展望した。






