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[オピニオン]「貧しい秀才」育成

Posted June. 08, 2007 04:36,   

教育政策を立てる時、いつの間にか、基準になってしまった地域がソウルの江南区(カンナムグ)だ。両極化問題だけみてもそうだ。まず、江南区の名門大学の進学実績をもって、他の地域と比べた後、「両極化がひどくなっている」と糾弾する。疏外地域の学生たちが、より多く名門大学に進学できるようにしなければならないと結論を下している。そこから出た代表的な政策が、今年始まる「内申書を重んじた入試」だ。

◆一見は、それももっともらしく見える。江南地区は優秀な学生が多いから、他の地域のほうが、内申が有利なはずで、学生たちの進学率もそれだけ上がるという計算が出てくる。しかし、現実は違う。大学側によれば、内申成績の優れた学生たちは主に「名門の進学校」から出ている。江南地域の学校も、学年が500〜600人に及ぶくらい大きな学校が大部分なので、上位等級の学生数もそれだけ多い。全体学生の何%に入るかによって等級が決まるので、募集団が大きいほど、上位等級数も多くなるのだ。一方、学年が100人あまりの農村の学校は、パーセンテージは同じでも数は大いに減る。

◆江南地区を萎縮させようとした政策立案者たちがなげくようなことだ。テーブルの上で、制度や「正義心」だけ持って問題に接近してきたせいだ。江南は差し置いて、底所得層の立場になって教育の現実を見なければならなかったのだ。彼らが真に望むのが何なのかに対し、苦心しなければならなかった。ちょうど、慶北(キョンブク)大学が、疏外階層の中で数学と科学に才能のある学生たちを捜し出して、英才教育をすることにしたそうだ。ソウルの九老区(クログ)も、優秀学生たちを選んで論述講義を直接行うことにした。民族士官高校は昨年から、毎年5人ずつ底所得層学生を選び、全額無料で教育をし始めている。

◆疏外階層の人々には、このような実質的支援が役に立つ。安い価格で課外授業をしてくれる「放課後学校」が、彼らにはずっとありがたいはずだ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は就任してから3年も過ぎた昨年5月になって、「放課後学校は国債を発行してでも必ずしなければならない事業だ」と述べた。「進歩」だの「改革」だのという巨大談論におぼれていて、今更ようやく悟ったのだろうか。教育分野こそ、「低い場所に臨め」という言葉が最もぴったり合う分野なのだ。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com