▲適当な投資先を見つからない資金が証券市場に殺到〓株式投資家が証券会社に預けておく顧客預託金が、今年1月末の8兆5360億ウォンから、今月22日現在には12兆3990億ウォンへと、4ヵ月足らずで4兆ウォン近く増加した。海外ファンドへの資金流入はさらに加速し、同期間、受託額が19兆8136億ウォンから36兆1615億ウォンへと2倍近く急増した。
未来(ミレ)アセットのチョ・イソン大峙(デチ)支店長は、「適当な投資先が見つからない企業資金はもちろん、不動産市場の委縮で土地補償金など不動産関連資金なども国内証券市場に流入している」と分析した。証券市場に資金が殺到している背景には、過剰流動性現象が存在することが挙げられる。一言でいうと、市中にお金が溢れているということだ。
主要通貨指標の広義通貨(M2)は今年3月、1153兆4510億ウォン(平均残高基準)で昨年同期より11.46%増加した。このような伸び率は、いわゆる「クレジットカード大乱」が発生した2002年のM2増加率11.48%と同程度の水準だ。M2は現金と決済性預金だけでなく、銀行の定期預金、譲渡性預金証書(CD)など、市場型金融商品、収益証券など実績配当商品、金融債などを含めた通貨指標だ。
市中に資金が豊富な原因としてはまず、企業が稼いだ利益を設備投資に使わず、引き続き貯めていることが挙げられる。韓国証券先物取引所によると、上場製造メーカー537社の留保率は3月末現在、637.57%で史上最高水準だった。特に、10大企業グループは留保率が741.47%に達した。余剰金を資本金で割った留保率は、営業活動などを通じて稼いだ資金のうち、社内に貯めている資金の規模を表す指標だ。
証券業界では、「今年に入って、証券会社別に一般法人の投資金がぐんと増えた点を勘案すれば、投資先を見つけられなかった企業の資金が証券市場に流れ込んでいると見られる」と解釈した。
さらに各銀行が昨年、住宅担保融資に続いて今年、小企業への融資を大幅に増やして、市中の流動性過剰に一役買っているという分析も出ている。
金融界の中小企業に対する融資は今年3月末、304兆5000億ウォンから4月末312兆4000億ウォンへと1ヵ月で7兆9000億ウォンも増えた。これは月別の統計を取り始めた00年末以後、最も大幅な伸び率だ。
政府や公共機関の各種開発事業で土地補償金(宅地開発地区の補償金)が大量に供給されたのも原因の一つだ。今年執行された土地補償金は、韓国土地公社が5兆2000億ウォン、大韓住宅公社が2兆5000億ウォンなど計7兆7000億ウォンに達する。
最近、証券市場に流れ込んだ資金の中には、不動産関連の投資資金も相当部分を占めていると分析されている。ただ、不動産取引そのものが制限されているため、既存の不動産売却代金が証券市場に流れ込んでいるわけではなく、不動産投資のためにやり繰りした余裕資金または浮動資金などが、証券市場を代替の投資先にして流入していると見るべきだという指摘も多い。
▲韓国銀行、過剰流動性の解消で悩む〓中央銀行の韓国銀行(韓銀)は、過剰流動性を吸収するかどうかをめぐって悩んでいる。過剰流動性を抑えるために金利を引き上げると、景気が委縮しかねないからだ。また、金利の引き上げは海外からの資金流入を煽る結果を招きかねない。三星(サムスン)経済研究所のクォン・スンウ首席研究員は、「解放経済で金利が野放図に上がると、海外流動性の流入が増えて通貨政策の効果が失われる懸念がある」と指摘した。
通貨量の調節のため、通貨安定証券の発行は利子の支払いを増やして、かえって流動性を増加させる要因に働く恐れが高い。実際、昨年、韓銀が通貨安定証券の発行で支払った利子費用だけで6兆8063億ウォンに上る。
延世(ヨンセ)大学経済学科の金ジョンシク教授は、「海外へ貨幣が流れ出るようにしなければならないが、問題は韓国の金融会社に海外投資の経験が少なく、海外投資を不安がることにある」と述べた。
新栄(シンヨン)投資信託運用のホ・ナムグォン常務は、「企業の実物投資に投入されるべき資金が大挙証券市場に流入すると、国の潜在的な成長力を損ねる恐れがある」と懸念を示した。
一方、流動性過剰についてそのように不安を覚える必要はないという見方もある。韓国経済研究院のホ・チャングク経済研究本部長は、「ここ数年間は、過剰流動性で不動産価格が急増する材料を提供したのは事実だ」とし、「流動性が増えてどのような問題が発生するかを考えてみなければならないが、現在はそのように深刻な状況ではない」と述べた。
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