ハーバード大学やエール大学・プリンストン大学のような米国の一流大学には、「マイノリティー(少数者)」のための特別選考がある。恩恵者は少数人種の黒人やアジア系、ヒスパニック系が大部分であり、入学では恩恵を受けるが、卒業は自力でしなければならない。1950年代、ハーバード大学の卒業生は全て白人だったが、民権法の影響を受け、特別選考が導入されたあとの1970年代末には、卒業生のうち黒人が8%、アジア系が6%、ヒスパニック系が5%を占めた。
◆少数者への特別選考は「逆差別」だという議論を生んだ。1972年、アラン・バキラという白人エンジニアは11のメディカル・スクールに入学願書を出したものの、成績はまずまずだったが、すべて落ちた。彼は少数民族への割り当て制のせいだと、カリフォルニアを相手に訴訟を起こした。最高裁判所は、「少数者への優遇制には賛成、割り当て制は違憲だ」と言い渡した。各米国大学では同門の子女に恩恵を与える寄与入学制を定着させた。同制度が米国人の信頼を得たのは、このように多様性と均衡の原則が共に守られているからだ。
◆ソウル大学では05学年度の入試から国内で初めて地域均衡選抜選考を実施した。06学年度の新入生のここ1年間の学業達成度を分析した結果、特技者の入学生と地域均衡選抜入学生が一般の定時募集入学生より成績がよかった。逆差別という論議もあったが、結果は肯定的だ。地域均衡選抜入学生の単位の点数が高いのは、高校時代の優れた内申成績に裏付けられた「勉強する力」が大学でも発揮されたためだろう。
◆地域均衡選抜制が導入され、ソウル大学に初めて合格者を輩出した田舎の学校が続出した。同制度のため、地方に引っ越す人まで現れた。ソウル大学が地域均衡選抜制を導入した目的は私教育のインフラが弱い田舎の秀才たちにも入学の門戸を拡大し、多様な背景の人材を育てることにある。地方たちのための真なる道は「3不政策」のような入試規制ではなく、このような多様な入試政策だ。社会的な弱者を配慮するこのような選考が私立大学にまで拡大されれば、寄与入学制への反対世論も下火になるだろう。
鄭星姫(チョンソンヒ)論説委員 shchung@donga.com






