旧ソ連は1962年、米国の目と鼻の先にあるキューバにミサイル基地を建設していた。カストロ共産革命政府が発足した直後だった。空中撮影でこの事実を確認したケネディ米大統領は、ただちにテレビ演説を通じてこの事実を国民に知らせ、キューバに対する海上封鎖を命令した。ソ連との核戦争も辞さないという断固たる意志の表現だった。全世界が手に汗を握って見守る中、ソ連共産党のフルシチョフ書記長は遂に屈服する。キューバに向かっていたソ連船団16隻は方向を転回してしまう。
◆この事件を機に、翌年ワシントンとモスクワの間に緊急連絡網であるホットライン(hot line)が設置された。連絡が途絶えることによる核戦争だけは阻止しなければならないという点で両国の考えが一致した結果だった。通信方法は有線と無線の2つの電信回路によるテレタイプ方式だった。1967年の第3次中東戦争では、ソ連はこのホットラインを利用して米国に協力を要請した。ソ連は1966年にはフランス、翌年には英国ともホットラインを設置した。
◆韓国と北朝鮮の海軍の間にも04年にホットラインが設置された。西海(ソヘ、日本名=黄海)上での偶発的な衝突がさらに大きな軍事的事態に拡散しないようにするためだ。しかし両国間にはまだホットラインを運営するだけの十分な信頼が築かれていないようにみえる。北朝鮮の海軍艦艇や漁船が北方境界線(NLL)を侵犯すれば、韓国海軍はただちに交信を試みるが、北朝鮮は応答しないか、遅れて応答するケースが常だという。軍関係者は、北朝鮮軍の通信システムが老朽化している理由もあるが、NLLを無力化しようという意図もうかがえると話す。
◆盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と中国の温家宝首相は一昨日の首脳会談で、両国海軍および空軍間にホットラインを構築することで合意した。西海は、両国の海・空軍の軍事活動は言うまでもなく、北朝鮮を含む3国の漁船の漁労活動も多い場所だ。ホットラインの設置は、同地域の安定と平和の維持に大きく役立つだろう。しかし、ホットラインは相互信頼が命である。相手を撹乱(かくらん)する武器に悪用されないよう注意しなければならない。
陸貞洙(ユク・チョンス)論説委員 sooya@donga.com






