●市場開放—薬価格引き下げに備えた新たな突破口
大熊(テウン)製薬が国内製薬会社では初めて、世界的な「生命工学ハブ」として急浮上しているインドに現地研究所を設立する。
国内の各製薬会社が韓米自由貿易協定(FTA)締結を受けての市場開放や政府の薬価格引き下げ政策などに備えて、世界4位の製薬大国、インドに目を向けているのだ。
これを受けて、インドが国内製薬産業のグローバル競争力確保のための新たな突破口になるかどうかに、製薬業界の関心が集まっている。
●大熊製薬、インドに現地研究所の設立を推進
大熊製薬は昨年、インドのハイデラバード市に事務所を開いて研究員2人を派遣し、現地での研究所設立の準備に入っていることが、6日確認された。
03年、LG生命科学がインド・ニューデリーに販売法人を設立したことはあるが、国内大手製薬会社がインドの現地に事務所を開き、研究所の設立に乗り出したのは今回が初めてだ。
大熊製薬関係者は、「2010年、売上高1兆ウォン以上のグローバル製薬会社へと跳躍するため、インドや中国、米国などに海外研究開発(R&D)基地の構築を進めているところだ」とし、「インドで薬品の原料発掘や技術開発のための研究所設立の準備をしている」と語った。
昨年、ハンイル薬品を買収したCJ(株)も、インドへの進出を模索している。
CJ(株)関係者は、「生産ラインや販売法人よりも、現地研究所設立のほうを検討している」と述べた。
孫京植(ソン・ギョンシク)CJグループ会長は昨年11月、大韓商工会議所会頭としてインド・ハイデラバードの製薬団地を訪問し、「インドは情報技術(IT)に劣らぬほど製薬産業の分野においても安くて優秀な人材が豊富だ」と、投資の意思をほのめかしたことがある。
●「インドのハイレベルな人材を誘致せよ」…現地での人材採用ブーム
国内各製薬会社がインドに注目している理由は、優秀な人的資源や製薬市場の成長の可能性を秘めているからだ。インドを研究開発の拠点として、新薬開発や海外市場へのマーケティングに乗り出す思惑があると見られている。
インド・化学肥料部によると、インドの製薬産業は、金額では世界13位だが、生産量では世界4位。年間8〜10%ずつ成長し、世界製薬産業の成長の勢い(年間7%)を追い抜いている。
とりわけ、コピー薬の生産技術が優れている。国内製薬業界では「新薬の特許が終わると、1年たらずで、インドでゼネリック薬品(オリジナル新薬をコピーした薬品)が生産される」という話まで出回るほどだ。
生命科学分野における高級人材も豊富だ。インドには300あまりの生命科学大学があり、年間70万人の卒業生を輩出している。年収2万5000ドルで博士レベルの人材を採用できるほど人件費も安い。
国内製薬会社の間でもインド人の高級人材獲得競争が繰り広げられている。SKケミカルは今年、インドで生命科学分野の博士級の人材を10人以内の枠で採用し、国内で働かせる計画だ。
SKケミカル関係者は、「昨年からインド現地で博士級の人材採用のための面接をやっている」とし、「新規採用したインド人の人材を新薬開発に投入する計画だ」と述べた。
中外(チュンウェ)製薬も昨年、インド出身の博士級人材1人を採用した。同社はインド出身の優秀な人材を採用し、インド市場への進出も推進する計画だ。
国内のある製薬会社関係者は、「インドは研究開発費が安くつくうえ、インド人の人材の人脈を活かした海外マーケティングもできるというメリットがある。しかし、米国やヨーロッパに比べて、新薬開発の力量の面では劣っているのが弱点だ」と語った。
parky@donga.com






