ウォン高と原油高、中国など後発開発途上国の激しい挑戦、政府与党の「社会貢献圧迫」によるストレス、財界ランキング2位の現代(ヒョンデ)・起亜(キア)自動車グループに対する検察捜査…。
同時多発で押し寄せてくる各種悪材料のため「残忍な4月」という言葉が出るほど、韓国企業が危機に直面している06年4月。最大企業の三星(サムスン)グループを率いている李健煕(イ・ゴンヒ)会長が、これまでの隠遁から抜け出て、動き始めた。
「Xファイル事件」などの悪材料が浮上した後、沈黙を守りながら李鶴洙(イ・ハクス)戦略企画室長(副会長)を通じてグループを間接指揮してきた李会長が、このほど系列会社の社長団を直接呼んで、「外部の環境変化によく対応して、第2の跳躍を準備するように」と指示したことが、10日確認された。
三星グループ戦略企画室の関係者は、「李会長が3月末から系列会社の社長団を逐次的にソウル龍山区漢南洞(ヨンサング・ハンナムドン)の承志園(スンジウォン、三星の迎賓館)に呼んで、細部懸案を報告してもらっている」と述べた。三星側はまた、「李会長は社長団との面談で、『悪化しつつある外部の経営環境に敏感に対応できる経営システムを構築し、これを基盤に第2の跳躍を準備するように』と指示した」と付け加えた。
1年に1度程度、電子小グループ社長団会議に参加してきた李会長が、系列会社の社長を逐次的に呼んで、具体的な懸案に対して話し合い指示を伝えたのは極めて異例のことだ。特に、小グループ単位ではなく、細部の事業分野別に会議を行うのは具体的で強いメッセージを伝えるためのものと受け止められ、グループでは緊張感を高めている。
李会長はまず3月27日、三星電子の黄昌圭(ファン・チャンギュ)半導体総括社長を呼び、最近の世界半導体市場の動向と展望に対して詳しく報告を受けたあと、対応策を話し合った。
3月29日にはディスプレーとデジタル・メディア関連分野の社長団と会議を開いた。同日の会議にはチェ・ジソン・デジタルメディア総括社長、李相浣(イ・サンワン)液晶表示装置(LCD)総括社長、金淳澤(キム・スンテク)三星SDI社長などが参加して、日本の関連会社のけん制の動きなど市場動向について報告した。
まだ会議に参加していない残りの電子系列社の社長たちも、今月中承志園を訪問する予定だ。三星生命、三星火災、三星カード、三星証券など金融系列会社は5月9日、晩餐会を兼ねて承志園に集まる。三星物産、三星エバーランド、ホテル新羅(シルラ)、三星石油化学などいわゆる「独立系列会社」社長なども5月末ごろ、李会長に直接報告する予定だ。
会議の参加を控えて系列会社の社長らは、企画チームや財務チームなどに報告書の作成を指示しておいた状態だ。三星戦略企画室の高位幹部は、「李会長が2年近くグループの懸案を直接チェックしていなかったため、社長らを呼んで各系列会社の関心事項を一々点検している」と説明した。
李会長は「直接経営」を通じて、長期間の海外滞在と国民向け謝罪の発表過程で多少乱れ気味だった組織の雰囲気を一新する効果も狙っているものと分析される。
三星のある関係者は、「来年の定期人事を控えて、一部系列会社の社長と役員の勤務姿勢が怠慢になっているという話がある」と述べ、「会長もこのような雰囲気を報告で受けたはず」と答えた。
現在、三星グループの系列会社のうち、60%以上は社長が通常の任期の2、3年を越しているため、来年は大幅な人事移動が確実視される。
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