韓国の宝くじでの最高当選金額は407億ウォンだ。2003年4月にロット宝くじの抽選で1位になった警察官が、その幸運の主人公で、税金を引いても318億ウォンを受け取った。世界の宝くじ史上、最高である1億1340万ドル(約1134億ウォン)には及ばないが、莫大な金額だ。当時、彼は勤めていた警察署と息子の通っていた小学校、市民団体、貧しい人のための募金をしているマスコミ各社などに数十億ウォンを寄付した。
◆首相室の宝くじ委員会の調査(2004年12月)によると、韓国成人の57.5%が宝くじを買った経験があると集計された。宝くじに当選して、使い放題に使ってみたいという人は多いだろう。しかし「大当り」が出て、人生の逆転を享受した確率は 「0」に近く、大部分はただ虚しくお金を使ってしまう。心理学者のスキナーは「人間は処罰と強圧だけによって統制を受けるのではなく、報償によっても統制を受ける」とし、人々が宝くじの購入を強制される側面があると分析した。「宝くじは確率を知らない人に政府が付ける税金」という西洋の諺もある。
◆現在、韓国では10の政府機関が25種の宝くじを発行している。しかし、これでも足りないと思ったのか、来月からもう一つの宝くじが出るようだ。1枚当たりの販売価格1000ウォンで、1等当選金は100万ウォンの新しい宝くじは、当選金が少ない代りに当選の確率が既存の宝くじより遥かに高くなると言う。宝くじ委員会は「宝くじ市場の均衡発展」と言う名分を掲げているが、政府が先を争って投機と射幸心を煽っているという非難は避けられないだろう。「均衡」と言う言葉は便利でもある。
◆ましてや、政治からして、投機と射幸に夢中になっている国だ。ゲームをするように近付く権力遊びや、国民の感性を刺激するポピュリズム(大衆迎合)の各政策は、国民を惑わすという点で宝くじに似ている。「李海瓚(イ・へチャン)ゴルフ波紋」に見られるように、政権の実力者の回りに実業家が集まるのも一種の投機だ。「宝くじ共和国」と言うことだろうか。
宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員 youngeon@donga.com






