Go to contents

[オピニオン]信頼の言葉

Posted February. 01, 2006 03:21,   

「その日の講演は重くて、退屈で、長かった」。1996年12月5日、グリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の歴史的な演説を、出席者らはこのように記憶する。睡魔と戦った人々は翌日、朝刊新聞を読んでびっくりした。「米FRB議長が株式市場の非理性的な加熱(irrational exuberance)に公開的に疑問を示した」。数年後の株価バブルの崩壊を警戒して、数兆ドルを揺れさせた発言を聞いても、気が付かなかったものだ。

◆ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に新語(Newspeak)があるように、グリーンスパンには「Fed Speak」がある。遠回しに言って、聞く人を紛らわせる言い方だ。同じ言葉をめぐって、ニューヨークタイムズは「金利引下げはない模様」、ワシントンポストは「金利引下げ示唆」と報道したりもしたと、ブルームバーグ通信は伝えた。彼は、「FRB議長になってから辻褄の合わない(with great incoherence)言い方を学んだ」とし、「皆さんが私の言うことをきちんと理解したと言うのなら、間違いなく誤解している」と述べた。

◆「世界の経済大統領」の言い方は、ギリシャ神殿の神託のように多様な解釈を生む。市場の過敏反応を減らし、政策決定の幅を広めることで、金融市場を効果的に管理できる。威力次第で世界経済に及ぼすものすごい影響力をコントロールできる。彼の言葉を理解する人は少なかったが、市場はグリーンスパンのことを信じた。特に、インフレを決して容認しないという信念は彼の兵器だった。米国が貿易と財政の赤字の中でもドル高を維持するのもグリーンスパンに対する信頼と解釈される。

◆グリーンスパンの後を継いだバーナンキ新議長は、政策は受け継ぐが明確な言い方を駆使しそうだ。言葉が曖昧であれ明確であれ、重要なのは市場と経済主体に一貫したメッセージと確信を与えることだ。韓国銀行総裁は「韓国の通貨保有額はこれ以上は増えないだろう」という失言などで、1兆ウォンの為替相場防御費用を使ったりもした。そういえば、無駄な言葉をよく口にする人は、我々の周りに1人や2人ではなさそうだ。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com