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[社説]両極化解消、抜本的対策はないのではないか

[社説]両極化解消、抜本的対策はないのではないか

Posted January. 19, 2006 03:12,   

盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が昨日、対国民演説を通じ、両極化の克服に向けた解決策は「いい働き口を多く創出することだ」と強調した。「いい働き口」は、大統領以上に国民が望んでいる。両極化は、韓国社会が直面する課題の一つだ。問題は、「病名」を繰り返し、目標を叫んだからといって、病気が治り、望みがかなうわけではないということだ。「何をやるか」よりも「どうやってやるか」が重要なのだ。

盧政権は、任期初期から両極化問題を取り上げはしたものの、過去指向的であり、政略的なアジェンダ(国政議題)を量産して自ら力を分散させたため、両極化は、敵味方を分けるための小道具程度の「政治的イシュー」にとどまった。いわゆる進歩陣営まで、「盧政権は両極化を解消すると言って騒いだだけで、何の進展もない」と酷評するほどだ。盧大統領は昨年8月、国民とのテレビ対話で、「両極化は深刻ではあるが、世界的現象と見なければならない。韓国が世界で最悪というわけではない」と述べた。このように、両極化に対する盧大統領の問題意識は、その時その時の状況によって偏差をあらわにした。

盧大統領が今回、両極化を年頭演説のキーワードにしたのには、5月の地方選挙と来年末の大統領選挙を念頭に置いた政治的考慮があったと見える。両極化を少数の既得権勢力と多数の落伍勢力を分ける手段にしようとするものではないか。

盧政権はこの3年間、両極化をむしろ育ててきた。「不動産富裕層に超精密誘導税金爆弾を投げる」という「8・31不動産対策」は、不動産取引を萎縮させるなど、市場を撹乱し、中産層や庶民層がまっとうに引っ越しもできない後遺症を生んでいる。国土均衡発展を目標に掲げた行政都市、革新都市、企業都市などは、全国土を投機の場にし、土地を持つ者と持たざる者の資産格差を拡大させた。医療および教育サービスの平均化は、サービスの質を下げ、富裕層の海外消費をあおった。教育移民や早期留学、年間10兆ウォン以上の海外教育支出は、無能な「コード」教育政策が生んだ両極化を雄弁に物語る。

盧大統領は昨日の演説で、具体的な対策として、中小企業とサービス産業の育成、「社会サービス雇用」の拡充、社会安全網の拡充などを挙げた。税金をさらにとって、「分配式」事業を拡大するという考えだ。しかし、「血税で作る社会的雇用」よりも、「企業の活発な投資が作る民間雇用」のほうが、ずっと良質であり、失業解決の抜本的な対策になる。

多くの問題を財政支出の拡大を通じて解決するという発想は、政府内でも憂慮されている。財政経済部は、「福祉などの支出が大きく増加する場合、財政の健全性が中長期的に悪化する可能性がある」と指摘した。福祉の他に対北朝鮮支援などの統一費用、少子化や高齢化による年金問題など、財政の「時限爆弾」は1つや2つではない。単に政府の支出を増やしたからといって、福祉になるわけではない。福祉支援金の配分システムもいい加減で、事故が多く起っている。

盧大統領は演説で、韓国社会の成長と発展を妨げる最大の危機要因として、両極化の拡大を挙げたが、多くの国内外の専門家たちは、「過度な政府規制と雇用の硬直性」を指摘している。海外の学者や企業家たちの忠告も、規制緩和と雇用の柔軟性確保に集中している。

盧大統領は演説で、不正規職法案について「経済界と労働界の決断」を求めたが、「労使ロードマップ」は、今年初めに政府が責任を持って発足させなければならない。最近訪韓した米プリンストン大学のグレゴリー・チョウ名誉教授は、「韓国が、両極化と雇用のない成長問題を解決するには、企業家が稼げるようにしなければならない」と話した。企業にやさしい環境でなければ、成長も雇用もないということだ。

韓悳洙(ハン・ドクス)副首相は、今年の韓国経済の課題として、潜在成長率の下落と経済の両極化を取り上げ、「新年、潜在水準の成長が実現する場合、両極化が多少改善するだろう」と述べた。5%以上の成長と37万人の雇用創出という政府目標以上の実績をあげてこそ、両極化の緩和を体感できるだろう。財政支出の拡大と分配福祉に代表される「盧武鉉ノミックス」の方向修正が必要だ。