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[社説]ES細胞、研究が立ち止まってはいけない

[社説]ES細胞、研究が立ち止まってはいけない

Posted December. 17, 2005 10:37,   

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患者のクローン胚による胚性幹(ES)細胞の真偽をめぐる論議が、黄禹錫(ファン・ウソク)教授と共同研究者だったミズメディ病院の盧聖一(ノ・ソンイル)理事長の「真実ゲーム正面衝突」の様相で、新たな局面を迎えた。両者の主張の多くの内容が相反し、どちらが真実でどちらがうそなのか、混乱している。盧理事長が「人クローン胚ES細胞は、すべてにせものだ」と主張し、国民に衝撃を与えた翌日、黄教授は、「ES細胞が入れ替わった」として、検察に捜査を要請した。

黄教授チームの研究は、国民の税金である政府予算が330億ウォン(昨年65億ウォン、今年265億ウォン)も投入された国家的プロジェクトだ。「人クローン胚のES細胞が、ミズメディ病院の受精卵ES細胞に入れ替わった」とする黄教授の主張が事実なら、これは国家的プロジェクトを妨害する重大事件である。しかし、盧理事長はただちに、「金ソンジョン研究員を犠牲にしようとする黄教授のシナリオだ」と非難した。犯罪の可能性まで提起されたES細胞疑惑を究明するには、ソウル大学の客観的・科学的な調査とともに、検察も乗り出すほかない。

優れた研究成果を出し続け、世界的に認められた黄教授が、写真のねつ造という決定的な過ちのために、「サイエンス」の論文を取り下げることになったのは、韓国の生命科学界の恥と言わざるをえない。論文の作成上のミスとおろそかな研究管理は、これまでの科学的成果まで色あせさせた。サイエンス論文のES細胞に対する真偽問題が提起された時、初めから正直に誤りを認めず、言葉を変えたり沈黙したりすることで、疑惑を増幅させたのも誤りだった。

さらに、ES細胞2、3番の写真が、重複して使用されたりねつ造されたりしたことは、経緯はどうであれ、真実を追求する科学の世界ではありえないことだ。黄教授に対する国内外の信頼が落ちたことは、黄教授が率いるチームの研究活動に、負担として作用するほかない。

昨日、黄教授は、「解凍と培養の過程を経て、検証できるES細胞が8株ある」と述べた。すると一昨日、テレビのインタビューで、「ES細胞はない」と断言していた盧理事長は、翌日には「2つは検証してみなければならない」と発言を変えた。

盧理事長は記者会見で、「幻滅をした」とし、黄教授に対する反感を隠さなかった。盧理事長は、「苦境に直面しているMBC放送のために、記者会見をした。『PD手帳』が私を後押しした」と述べて、MBCとの関係をうかがわせる発言もした。検察は、黄教授、盧理事長、MBC、そして『PD手帳』の匿名の情報提供者の関係の真相を究明しなければならない。

黄教授は、ES細胞を作ったことを確認した研究員4人を記者会見場に同席させ、ES細胞を検証できる資料が、顕微鏡フィルムなどで残っていると言った。論文がねつ造されたのか、でなければ誇張されたのか、ES細胞は実際に何株作られたのかなどは、ソウル大学調査委員会が明らかにすることだ。黄教授と盧理事長は、調査に積極的に協力しなければならない。

ミズメディ病院所属で、ソウル大学研究所と結びついていた金ソンジョン研究員は、今回の事件の疑惑を解くことができる核心人物として浮上している。金研究員はただちに帰国して、ミズメディ病院とソウル大学研究所の両方で、自分が実行して確認したことを、真実のまま明らかにすべきである。

黄教授は、「人クローン胚のES細胞を作り、また作り続けることができる技術を持っている」と断言した。また、重要で意味のある論文が、著名な学術誌の審査を受けており、近く提出する論文もあることを明らかにした。黄教授は言葉ではなく、検証された論文と研究結果を通じて、技術の存在を確認させなければならない。

ES細胞研究は、黄教授と盧理事長間の私的な問題ではない。研究成果の真偽は、ち密な調査とこれを補完する捜査で、真実のみを明らかにし、科学韓国の希望であるES細胞の研究は、さらに速度を増すべきだ。今のような「真実ゲーム」消耗戦にのみ埋没することは、国家的損失である。