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[オピニオン] 偽造ドル

Posted December. 16, 2005 08:34,   

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クレムリン広場で軍事バレードが繰り広げられている。旧ソ連の全盛期の時の話だ。新型ミサイルに続いて装甲車の行列が続く。その後に続いて、スキー部隊、特殊部隊など最精鋭の兵力が堂々と進軍する。ところが、最後にみすぼらしい身なりの元気のない老人の一行がよろよろと付いていく。驚いたのは西方の記者たちだ。「全くもう…」、自分の体もまともに支えられない人々を武力として押し出すなんて。

◆「どうしてあんな元気のないホームレス部隊が、軍事的誇りだと言えるのか」とソ連の当局者に聞いた。すると、「何言ってるんだ」と嘲笑いながら答える。「彼らは経済学者なのだが、我々ソビエトの秘密兵器なのだ。彼らをニューヨークやロンドンの証券市場に何日間いさせると、資本主義は丸ごと駄目になってしまうのだから」。経済学者の当てにならない予測力をあざ笑うジョークだ。一方では、資本主義の「開かれた株式・貨幣市場」が錯乱工作に弱いことを気付かせる話だという説もある。

◆北朝鮮が偽造ドルを大量に作ってばら撒いたというのが問題になっている。脱北者の証言によれば、北朝鮮は「外貨稼ぎ」と「反米向上」という二つの目的でドルを偽造する。反米向上とは何か。でたらめな経済学者をニューヨークに浸透させるように、偽造ドルを世界市場に振りまけば、混乱が生じる。すると、ドルを作る米国の信用にもヒビが入るという発想だ「米帝打倒」を掲げた革命の旗の下では、できないことは何もないということだ。

◆北朝鮮は15年前から数百万ドルもの偽造紙幣を作ったと疑われている。米国は6カ国協議でも「偽札問題」で北朝鮮を圧迫し始めた。1ドルの紙幣に「我々は神様を信じる」と書き込む米国人だから、簡単に退くことはないだろう。コーナーに追い込まれた北朝鮮の最近の行動は、あたかもクレムリン広場の「滑稽な年老いた経済学者部隊」を連想させる。飢えに疲れたみすぼらしい身なりも、資本主義市場を錯乱させるという発想も、みんなそうだ。検証されていない核を持って「秘密兵器」だと威張りながら掛け合うコメディー劇も、果たしていつまで続けられるのだろうか。

金忠植(キム・チュンシク)論説委員 skim@donga.com