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[オピニオン]私が口を開けば

Posted July. 26, 2005 03:08,   

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盧泰愚(ノ・テウ)政権時代の1990年4月。当時金泳三(キム・ヨンサム)民自党最高委員と頻繁に政治的衝突があった朴哲彦(パク・チョルオン)政務第1長官が、記者たちに言った。「3党統合の過程やソ連訪問中にあった秘話を話せば、金泳三の政治生命を一瞬に終わらせることもできる」。ただでさえ派閥対立が激しかった民自党の内紛は激化し、政界では、金泳三の政治生命を脅かす秘密に対する推測が飛び交った。

◆「私が口を開けば……」。大型の政治事件や権力型不正事件が起こった時に、守勢に追われた側がしばしば言った言葉である。張世東(チャン・セドン)、李源祚(イ・ウォンジョ)、鄭泰守(チョン・テス)、チャン・ヨンジャ、権魯甲(クォン・ノガプ)氏らが同様の発言をした。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領をねらった発言もあった。金令培(キム・ヨンベ)元議員は2002年の民主党の党内予備選挙が終わった後に、鄭大哲(チョン・デチョル)元民主党代表はその後に、大統領選挙資金不正について、「私が口を開けば……」と言った。世間に知られた事実は氷山の一角に過ぎず、巨大な真実は別にあるという、悔しさからの訴えであり、一種の脅迫だった。

◆そのような政界の「学習効果」だろうか。一昨日は、金泳三政権時代の要人に対する不法盗聴を行なった国家安全企画部(安企部、国家情報院の前身)の「ミリム・チーム」チーム長だったコン氏が、「私が口を開けば、ケガをしないマスコミはない」と話した。退職後も職務上取得した秘密を漏えいしてはならない元情報機関要員が、それも不法盗聴した内容を武器として世の中につきつけ、大声で叫んでいる。情報機関を悪用した権力が生んだ「無作法」ではないのか。

◆「秘密は持っている間はあなたの囚人だが、打ち明ければ、あなたが秘密の囚人になる」というユダヤの諺がある。そのためだろうか。「私が口を開けば……」と言っても、口を開いた場合はほとんどない。重要なことは、そのような言葉が足を踏み入れることがないように、政治、経済、社会の隅々まで、透明性と健全性を回復しなければならないという点だ。それこそが、不快で陰湿な表現を再び聞かないですむための確かな道である。

宋煐彦(ソン・ヨンオン)論説委員youngeon@donga.com