
まともなスポンサーもない。優勝は夢見ることさえ出来なかった。
相次ぐ予選脱落に、うんざりするようなモーテル生活…。それでも幸せだと言う。「今になってゴルフに目覚めることになった」と、彼女は言った。
6日に終わった米女子プロゴルフ協会(LPGA)ツアー・クオリファイ・スクールで共同第12位(1アンダー、359打)となり、来シーズンの出場権を再び獲得したチョン・イルミ(32)。
30歳を過ぎた今年、一歩遅れてLPGAツアーにデビューしたが、賞金ランキング90位以内に入れなかったため、クオリファイ・スクールに出なければならなかった彼女は6日、電話インタビューで、「脱落が心配で気軽にゴルフをすることはできなかったが、それでも1年間、米ツアー生活をしたお陰で合格できた」と喜んだ。
チョン・イルミは韓国女子プロゴルフ(KLPGA)で2年連続賞金王(1999〜00年)を占めるなど、個人通算8勝をおさめた韓国トップの女子ゴルファー。しかし、彼女はより大きい舞台で活躍するため「楽な道」ではなく、「いばらの道」を選んだ。
昨年、LPGA クオリファイ・スクールで共同17位を占め、04年プールシードを受けたチョン・イルミ。別天地の世界が開かれたかのようだったが、現実は冷酷だった。チョン・イルミに今年の成績を聞いてみると彼女は、「思い出したくもない」と言った。
記録を調べてみた。大会に23回出場して、予選脱落が18回で、「トップ10」入りはたったの1回もなかった。最高成績が10月に開かれたアサヒリョクケン・インターナショナル選手権での共同42位(イーブンパー)。
賞金ランキングが193人中152位の彼女が今年稼いだ金額は、わずか1万4648ドル(約1500万ウォン)。03年、韓国で稼いだ賞金(4323万ウォン)にも及ばなかった。
こんなわけだから、稼ぐのより使う方のがもっと多い。専属キャデーは夢みたいな話で、ロードマネージャーと一緒に、経費を節約するため安い宿所を捜し回る。チョン・イルミは、「口に合わない食事は堪えることができたが、英語が下手なため意思疎通がよく出来なかったことと、大会が終われば移動するのが一番大変だった」と話した。
技術的に失敗した原因を問うと、彼女は「芝生にまともに適応できなかった点」をあげた。「バミューダグラス、ケンタッキーブルーグラス、ベントグラスなど、競技場ごとに芝生が全部違いました。コースセッティングにも一苦労しました。」
米国に渡った韓国選手のうち一番年上のチョン・イルミは、自尊心も相当傷ついたはずだ。シーズンは終わったが、「このままでは韓国に帰れない。冬季練習を米国でする計画」だそうだ。両親は結婚を勧めているが、男性には関心もない。
「他人はどう思うか知りませんが、私は米国に来て良かったと思います。ここに来て、新しくゴルフを学んでいるのです。時間が問題であって、可能性は十分だと思います。自分のやりたいことをしながら生きて行くのが重要じゃないでしょうか。」
金相洙 ssoo@donga.com